たんぱく質の必要量を作った研究者が語る、たんぱく質摂取の極意とは?<後編>

今回は当社の技術顧問でもある、甲南女子大学の木戸教授に代表美濃部がお話を伺いました。

インタビュー内容をそれぞれ前編、後編でお届けしています。

今回はインタビュー、後編です!

※前編はコチラから

プロフィール

技術顧問

甲南女子大学 教授/木戸 康博

  • 徳島大学大学院栄養学研究科 修士課程修了
  • 京都府立大学名誉教授、ハノイ医科大学客員教授 など
  • (公社)日本栄養士会(理事)、(公財)味の素ファンデーション(理事)など
  • 厚生労働省 日本人の食事摂取基準策定委員会
    (2010年、2015年、2020年版)(任期満了)

論文よりも消費者の評価が全て

美)たんぱく質・アミノ酸の研究ですが、日本と諸外国を比較して、日本の優れた点はどんなところにあるでしょうか。

木)アミノ酸で優れているのは、日本だと発酵方法。合成ではなくL型D型(※立体構造が左右対称な「左手型」(L体)と「右手型」(D体))それらを分けるようにする難しい事は日本が得意ですね。各農業大学や民間企業の研究が寄与しましたね。欧米では人の健康に寄り添うより、売れることに重きをおいた研究スタイルが多いですね。メーカー側に言いたいのは、市場にでるまでの品質管理はおこなっているが、出た後の管理はしっかりとできていない企業がある。そこは非常に情けないと思う。

美)はい。重要なのは研究の成果として出来た商品・サービスが消費者にとって安心・安全で成果として還元することだと思っています。

美)多くの研究の元になりたっているエビデンスですが、新しい研究や民間主導の論文化されない研究はエビデンスとしては評価されません。先生はどのようにお考えですか。

木)あくまでエビデンスの話なので重要なのは、民間の中には論文や公になっていない優れた技術を保有していると思っています。民間企業が出すものに関しては、サービスが提供する価値が全てだと思っています。それは利用した人が良いと思えばそれが全てです。使用してみて良くなければ駄目なものは駄目。つまり検査やサプリでも、利用者にとって良い結果を産むものであれば、良いということです。健康や栄養の過不足は人によって異なるわけですから、サプリを良いと思ったり悪いと思ったりは当然であって、正しく把握した上で使用するというのは良いと思います。一つの商品で万人受けするものは中々ない。一人ひとりにあったものを把握したうえで、使用するのが良いと思っています。

たんぱく質とは一番大事なもの

美 世界の人口増加に伴い2025年~2030年頃に需要と供給のバランスが崩れると予測されており、現在の生産方法ではたんぱく質を世界全人口へ供給することがほぼ不可能と言われています。代替たんぱく質(コオロギなど)、人口培養、ベジタリアン・ヴィーガニズムなどの解決策がありますが、どのようにお考えですか。

木 私僕は今の食生活が続いていくとは思っていないです。現在の動物性食品中心から植物性食品へのシフトであったり、生物界の中では敬遠されてきた驚くようなものを食べる流れにならざる得ないのではないかと思います。それが急激に進むと身体的・健康上の問題など含め、何か現れてくると思います。物質的として考えればアミノ酸は細菌に作ってもらったらいい。しかし、美味しくないので精神的にきついですよね。強い意志があれば可能だけど(笑)全世界の人に求めるのは無理がありますね。

美 最後に、先生にとって栄養とは?

木 たんぱく質とは一番大事なもの。「プロテウス」はギリシャ語で「第一に大事なもの」という意味。昔の人の名前の付け方はすごいですね。たんぱく質が抗体や酵素、ホルモン、筋肉などを作っている。困ったときはグルコースまで作る。だから第一に大事なんです。

著者 / 監修者