栄養と炎症の関係 ~亜鉛が足りていないと炎症が起きるかも~

炎症を防ぐために亜鉛を欠乏させないことが大切

炎症とは、怪我や感染のときの痛みや腫れのことを指します。
慢性的な炎症は糖尿病やがんなど、あらゆる病気につながるとも言われています。
以下に紹介する報告では、血清中の亜鉛濃度と炎症の発生に関連があることを示唆しています[1]。
亜鉛を摂取するためのポイントとあわせてご紹介します。 

血中亜鉛と炎症に関する報告

韓国、韓国漢陽大学のJungらによって、血清亜鉛濃度と3種の炎症マーカー(血清サイトカイン(IL-6、TNF-α)およびCRP)には負の相関があることが報告されています[1]。

~以下引用~
この研究は、韓国の農村地域における40歳以上の健康な人を対象にして、3種の炎症マーカーと食事からの亜鉛摂取量および血清亜鉛濃度との関連を調べたものである。亜鉛摂取量の評価には食事摂取頻度アンケート(FFQ)を用い、8時間以上の絶食後に採血した血液サンプルについて血清IL-6、TNF-α、CRP、および血清亜鉛濃度を調べた。
亜鉛摂取量の平均値は男性9.6 mg/日、女性8.0 mg/日であり、亜鉛摂取量と炎症マーカーとの間に有意な相関は見られなかった。一方、女性においては、血清亜鉛濃度と3種の炎症マーカーすべて、男性においては、血清亜鉛濃度とIL-6レベルの間に弱い負の相関が見られた。これらのことから、とくに女性においては血清亜鉛濃度と炎症マーカーのレベルが反比例している可能性があるといえる。
~引用終わり~ 

亜鉛の摂取状況と摂取のポイント

国民健康・栄養調査における亜鉛摂取量の平均値は男性8.8 mg/日、女性7.3 mg/日であり、食事摂取基準[2]における亜鉛摂取の推奨量(成人男性11 mg/日、成人女性8 mg/日)を下回っています。
亜鉛の摂取については、まず、摂取量を現状よりも2〜3 mg/日程度増やして、推奨量を目指すのがよいでしょう。

亜鉛は牡蠣や牛肉に多く、他にも、魚介類、ナッツ、乳製品などにも幅広く含まれています[3]。
牡蠣には100 g(5個程度)に14.5 mgと非常に多くの亜鉛が含まれていますが、連日、牡蠣を食べることはできないでしょう。
穀物などに含まれるフィチン酸などの食物繊維が亜鉛の吸収を妨げるといわれてきましたが、一般的な献立に含まれる程度であれば、亜鉛の吸収にはほとんど影響を及ぼさないことがわかってきました。
それゆえ、食べ合わせを気にせず、牛肉などの亜鉛を多く含む食材を少しずつ増やすようにすればいいでしょう。 

引用文献

[1] Jung S, Kim MK et al. The Relationship between Zinc Status and Inflammatory Marker Levels in Rural Korean Adults Aged 40 and Older. PLoS One. 2015; 10(6)

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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