葉酸、ビタミンB12、ビオチンが足りていないと若白髪になりやすい?

若白髪と栄養状態の関連を調べた報告

インドのデリー大学の研究により、若白髪の患者に葉酸とビタミンB12の欠乏が見られることが報告されています[1]。

~以下引用~
この研究は、若白髪患者の血清微量栄養素レベルを調べるために、インドの若白髪患者と対照被験者各52名を対象に症例対照研究を行ったものである。被験者の年齢は白髪群で14.5±4.2歳(7〜20歳)、対照群で14.6±2.9歳(5〜20歳)であった。
血清栄養素レベルを比較した結果、白髪群は対照群と比較してビタミンB12レベルが有意に低かった(343±143 pg/mLに対し198±89 pg/mL)。ビタミンB12不足症と診断された人数は、白髪群で55.8%、対照群で17.3%であった。また、血清葉酸レベルも対照群と比較して白髪群で有意に低く(平均8.5±4.2 ng/mLに対し6.2±2.5 ng/mL)、血清ビタミンB12レベルとも正の相関が見られた。ビオチンについてはどちらの群も不足はしていなかったが、対照群(平均267±30 pg/mL)と比較すると白髪群は血中レベルが低い(平均253±19 pg/mL)傾向にあった。
~引用終わり~

この報告より、ビタミンB12、葉酸およびビオチンの血中濃度が低いと、若くして白髪になりやすい可能性が示唆されています。

日本における摂取基準

ビタミンB12

「日本人の食事摂取基準」におけるビタミンB12の推奨量は2.4 µg/日です(成人男女)。
これは血清ビタミンB12濃度を適正に維持する(100 pmol/L以上 ≒135 pg/mL以上)ために必要な摂取量をもとに算定し、策定された数値です[2]。
ヒトには、ビタミンB12を必要とする酵素が二つありますが、これら二つの酵素活性を十分に発揮させることができるビタミンB12摂取量を考慮して、必要量を算定するという考え方が、「日本人の食事摂取基準2020年版」[2]のビタミンB12の項の「今後の課題」に記載されています。
5 µg/日程度摂取した方が良いのかもしれません。

葉酸

「日本人の食事摂取基準」における葉酸の推奨量は240 µg/日です(成人男女)。
血清参照値(3 ng/mL以上)を満たすには400 µg/日以上の摂取が必要である可能性も報告されており[3]、積極的に摂取すべきと言えるでしょう。
なお、葉酸はビタミンB9とも呼ばれます。 

ビオチン

「日本人の食事摂取基準」におけるビオチンの目安量は50 µg/日です(成人男女)。
食品成分表に掲載された食品の多くは、ビオチンの成分値が測定されていません。
したがって、ビオチンの摂取量の調査は少ないのが現状です。
個々人のビオチン栄養状態は、尿中のビオチン排泄量から知ることができます[4」。
なお、ビオチンはビタミンB7とも呼ばれます。

摂取のポイント

ビタミンB12はあさりなどの貝類やさばなどの魚介類、レバーなどに豊富に含まれます[4]。
一度の食事で吸収できる飽和量は2.0 µgと推定されており[2]、一度に多量のビタミンB12を含む食事を摂るより三度の食事でこまめに摂取するのが効果的です。

葉酸はほうれん草などの緑黄色野菜、のり、レバーなどに豊富に含まれます[5]。
水に溶け出る、熱に対して不安定といった化学的性質を持つため、調理の際には気を付けましょう。
サプリメントによって摂取する葉酸は、食品中のものと比較して生体利用率が高いため、サプリメントで補うことも有効です。

ビオチンはレバーや納豆、きのこ類などに多く[4]、他にも様々な食品に幅広く含まれます。
これらを食事に取り入れながら摂取していくと良いでしょう。 

おわりに

白髪予防に、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの十分な摂取が効果的かもしれません。
豊富に含む食品やサプリメントやビタミン剤を活用すると良いでしょう。 

引用文献

[1] Daulatabad D, Singal A, Grover C et al. Prospective Analytical Controlled Study Evaluating Serum Biotin, Vitamin B12, and Folic Acid in Patients with Premature Canities. Int J Trichology. 2017; 9: 19-24

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-04-24)
[3] 松本希美, 溝畑秀隆ら「女子大生における血清葉酸値と葉酸摂取量の比較検討」, <http://www.jtnrs.com/sym29/07-No-P-02.pdf>(参照2020-04-24)
[4] 柴田克己(2013) ヒト尿を用いる新しいビタミン栄養状態の創成. 日本栄養・食糧学会誌. 2013;66:3-8.
[5] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-04-24)

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