水溶性ビタミンについて解説したこちらの記事 身体から失われやすい栄養素、ビタミンB群はサプリメント活用が吉!?不足に注意したい3つのビタミン に続いて、今回は脂溶性ビタミンについての解説をお届けします。
水に溶けやすく、身体から失われやすい特徴をもつ水溶性ビタミンとは反対の性質を持つ脂溶性ビタミンにおいて、サプリメントの利用はどう考えるべきなのでしょうか?
体内に吸収されやすく、貯蔵される脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンとは、水に溶けにくく、油に溶けやすいビタミンです。
体内で吸収されやすく、脂肪組織や肝臓等に貯蔵されます。
種類としてはビタミンA、D、E、Kの4つが挙げられます。
また、水に溶けにくく、尿などから排泄されないため、摂りすぎると過剰症を引き起こす可能性があります。
不足しやすい脂溶性ビタミンは?
脂溶性ビタミンは油に溶けやすく、また加熱調理によっての破壊もされにくいと言われています。
失われやすい水溶性ビタミンと比べると摂取しやすい栄養素と言えますが、1つ1つ特徴を見ていくと不足を気をつけておきたいものも存在します。
日にあたっていない人は要注意!ビタミンD
ビタミンDは「日光のビタミン」とも呼ばれており、日光を浴びる事で体内でも合成することのできる栄養素です。
皮膚での生産能力が落ちやすい高齢者や、インドア派であったり夜型生活を続けている人は注意が必要。
日本人では特に高齢者が不足しやすいことが報告されています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるはたらきがあるので、不足すると、子どもでは骨が通常よりも柔らかくなってしまうくる病や、高齢者では骨粗鬆症による骨折のリスクが高まります。
冬の日照時間が少ない地域に居住する人、外での活動が著しく制限されている人、高齢者は、サプリメントで補給する選択肢も考えても良いでしょう。
量を摂りにくいが、過剰摂取に要注意!ビタミンK
ビタミンKは「止血のビタミン」とも呼ばれ、血液の凝固に関わるはたらきがあります。
納豆やクロレラ、緑黄色野菜に多く含まれていますが、食品中には少量しか含まれていないため、不足しやすいビタミンです。
そのためサプリメントの活用を検討してみるのも一つです。
ただし、脳梗塞などの治療で抗血凝固剤を服用している人や血栓症の方は、摂取を制限されていることがあります。
また、摂取上限量も設けられているため、利用の際には専門家の指示に従うのが良いでしょう。
まとめ:脂溶性ビタミンは過剰摂取に注意、サプリメント活用は慎重に
いかがでしたか?どのビタミンも品目をバランスよく食べることで摂取することが可能で、食糧難の時代と比べてビタミン欠乏症は大きく減少しました。
しかし、食が豊かな今の時代でも
- 偏った食事(野菜不足)
- インスタント食品、ファストフードのとり過ぎ
- ダイエットなどで欠食や少食になってしまう
ことでのビタミン不足が問題になってきています。
そういった問題の解決策の一つとしてサプリメントの利用も増えていますが、ビタミンでも水溶性と脂溶性では特徴が違うため活用方法はそれぞれで考える必要があります。
ビタミンを始めとする栄養素には欠乏症だけでなく、過剰症も存在することをお忘れなきよう。
自分の生活習慣や食習慣から不足しやすいビタミンを把握し、足りないものを補う形でサプリメントを活用しましょう。
参考文献
1)尾岸恵三子,正木治恵:看護栄養学 第3版.医歯薬出版株式会社,1996.
2)増田邦義,植木幸英,野村秀一:食品衛生学ー食べ物と健康ー第3版.講談社,2011.
3)關戸啓子:ナーシング・グラフィカ⑥臨床栄養学.メディカ出版,2010.
4)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)総論(脂溶性ビタミン)」,https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf , (2019年2月23日最終アクセス)
5)厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」, https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h27-houkoku-04.pdf ,(2019年2月23日最終アクセス)
6)健康長寿ネット「ビタミンDの働きと1日の摂取量」, https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html ,(2019年2月23日最終アクセス)