ビタミンB6の摂取と心血管疾患リスクに関する報告
韓国の嶺南大学Jeonらによる研究で、ビタミンB6の摂取量と心血管疾患リスクの関連が報告されています[1]。
~以下引用~
この研究は、ビタミンB6の摂取量と心血管疾患との関連を調べたもので、40〜69歳の9,142人の韓国人成人を対象に7.4年間の前向きコホート研究を行ったものである。
半定量的食物摂取頻度アンケートによって食事を評価し、心血管疾患の発症率との相関を調べた。
結果、7.4年の追跡期間で、男性と女性でそれぞれ278件と284件の症例が見られた。男性においては、ビタミンB6の摂取量が多い人(2.40~6.22 mg/日)は少ない人(1.01~1.83 mg/日)と比較して0.48倍のリスクと低かったが、女性においての相関は見られなかった。
~引用終わり~
この報告より、男性においてビタミンB6をより多く摂取していると心血管疾患を予防できる可能性があることが示唆されています。
日本におけるビタミンB6の摂取
日本人の食事摂取基準では、成人男性において一日あたり1.4 mg/日の摂取が推奨されています[2]。
ビタミンB6の必要量は、アミノ酸の異化代謝量に応じて高まり、タンパク質1g当たり、0.023mgのビタミンB6が必要です。
1日に100gのタンパク質を摂取すると、2.3 mgのビタミンB6を摂取するといいですよ、ということになります。
平成29年の国民健康・栄養調査によると、ビタミンB6摂取量は平均1.24 mg/日(20歳以上、男性)であり[3]、やや不足傾向にあると言えそうです。
ビタミンB6を摂取するためには
ビタミンB6は赤身の魚や鶏むね、豚ヒレなどの動物性食品、さつまいも、バナナ、玄米などに多く含まれます[4]。
朝食や間食にバナナを1本プラスするだけで、0.38 mgのビタミンB6が手軽に補えるため、活用してみても良いでしょう。
鶏むね肉(皮つき)では100 gあたりに0.57 mgに対し、鶏もも肉(皮つき)では0.25 mgしか摂れません。普段料理をする人であれば、もも肉を使うところをむね肉に置き換えてみるのも良さそうです。
なお、ビタミンB6は、大量摂取を続けることで健康障害が見られることより、耐容上限量が設定されています(50~60 mg/日、成人男性)[2]。
耐容上限量とは、「この摂取量以上を習慣的に続けると健康障害のリスクが高くなりますよ」という意味で、一回だけの摂取量が少し超えても直ちに健康障害のリスクが高まるという意味ではありません。
気持ちとしては、習慣的に、耐容上限量には近づきたくないですね、という数値ですね。
おわりに
1日に3mg程度のビタミンB6を習慣的に摂り続けることで心血管疾患を予防できるかもしれません。
この量を通常の食事のみから摂り続けることは難しいです。
ビタミンB6サプリメントやビタミン剤で適切に補充することが心血管疾患の予防に有効かもしれんせん。
引用文献
[1] Jeon J, Park K. Dietary Vitamin B6 Intake Associated with a Decreased Risk of Cardiovascular Disease: A Prospective Cohort Study. Nutrients. 2019; 11
参考文献
[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成29年)」,< https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html>(参照2020-03-04)
[4] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)