8月31日は野菜の日!野菜の力、野菜不足の解消方法を解説

8月31日は野菜の日です。
日本人の野菜の平均摂取量は成人男性で約300g、女性で約280gと、目標量の350gを下回ります。
特に20~30歳代の野菜不足は深刻。
男性は約260g、女性は約230gにまで落ち込みます。
野菜のもつ健康パワーを改めて確認し、効率よく摂取する方法を解説します。

野菜は低カロリーなのに健康や美容に良い栄養分がたくさん!

ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含む

ビタミンは体のさまざまな機能を調節し、健康や美容に良い効果を与えてくれます。
ミネラルは骨や血液といった体の構成成分となり、体の働きを助けてくれます。
特に野菜はカリウムを多く含み、余分な塩分を体外に排泄するのを助け、血圧を下げてくれます。
さらに、モロヘイヤや小松菜、水菜は骨や歯を作るのに大切なカルシウムを多く含みます。

ダイエットに最適 低脂肪、低カロリー

ご飯1杯(150g)のカロリーは252kcalです。
同じだけのエネルギーを野菜で摂取しようとすると、トマトの場合約7個、きゅうりの場合は約18本分にもなります。
脂質の含量もごくわずかです。
このように野菜は大きさの割に低カロリーで低脂肪。
野菜中心の生活は満腹感を得ながら摂取カロリーを抑えられるため、ダイエットに適しているといえそうです。

ファイトケミカルにがん予防、アンチエイジング効果が

ファイトケミカル(phytochemical)とは植物由来の化学物質をさし、植物が紫外線や有害物質、害虫などから自身を守るために作り出す物質で、色素や香り、苦味や辛味の成分として存在しています。
五大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル)と異なり、不足しても体調不良になることはなく、エネルギーにもなりません。
しかし、ファイトケミカルのもつ強い抗酸化力作用などにより、がんや生活習慣病の予防、アンチエイジング効果が期待できます。

ファイトケミカルの中ではポリフェノールが有名ですが、ポリフェノールだけでも種類は5000種類以上と言われ、効果が明らかにされているのはごく一部です。
独特の風味を持っていたりや色が濃かったりする野菜に多く含まれるとされています。

野菜の摂取目標量350gに到達するには

野菜中心のおかずを1日に1~2皿プラスしよう

生活習慣病などを予防し、健康的な生活を送るための目標として1日あたり350gの野菜を食べることが推奨されています。
これは、サラダや野菜がメインの材料となる小皿のおかずを1食1皿(70g)以上、1日でだいたい5~6皿に匹敵します。

日本人の平均摂取量を考えると、今より1日あたり1~2皿プラスすれば目標量に到達できます。
毎日1~2皿増やすと聞くとプレッシャーになるかもしれませんが、作り置きのおかずを用意しておくことで少ない負担で野菜不足が解消できるかもしれません。

外食やテイクアウトの場合

手軽においしい食事が食べられる外食やお惣菜は魅力的ですが、野菜が不足する傾向にあります。
なるべく野菜が多く使われたメニューを選びましょう。
サラダやほうれん草のおひたしといった野菜料理を足したり、丼ぶりではなく野菜のおかずがついた定食を選んだりしてみるのがおすすめです。
コンビニでも、近頃はサラダのみならず煮物など様々なお惣菜が並んでいますので、お弁当や麺類にプラスすると良いでしょう。
カラフルな野菜は栄養のバランスアップだけでなく、視覚的にも満足感を与えてくれます。

野菜ジュースやサプリは必ずしも代わりになるとはいえない

手軽に栄養を摂取できる野菜ジュースやサプリに頼る場合もあるかもしれません。
ただし、野菜を食べるのと必ずしも同義ではないことを頭に入れておいた方がよさそうです。

野菜ジュースの場合、製造の過程で一部の食物繊維やビタミンCのような熱に弱く水溶性の栄養素が失われてしまいます。
「〇〇g分の野菜が使われている」「〇〇種類の野菜が含まれている」からといって、使用された野菜の全ての栄養が摂取できるわけではありません。

サプリにおいては、野菜に多く含まれるビタミンを摂ることはできるかもしれませんが、野菜の持つ栄養はそれだけではありません。
前述したファイトケミカルの健康効果は一部しか明らかになっていません。
こうした未だに知られていない健康パワーをもつ成分をサプリで摂取することは難しいといえそうです。

「野菜を噛む」という動作には、食べ過ぎや虫歯を予防する効果があるとされています。
野菜ジュースやサプリは噛む必要がありません。
野菜を食べない分、カロリーの高い他の食事を多く摂ってしまっては肥満や病気の発症に繋がる可能性があります。
野菜ジュースやサプリは補助的な役割だと考え、なるべく野菜そのものを摂取する方がよさそうです。

野菜の栄養をフルに取り入れよう

旬の野菜は栄養も豊富

旬の野菜は安く手に入るだけでなく、栄養も豊富になる場合が多いです。
例えば、夏が旬のトマトはカロテンが7月に528μgとピークを迎え、11月には半分を下回る241μgにまで減少するという研究結果がでています。
一方、冬が旬のほうれん草は夏にカロテンやビタミンCの含有量が減少し、特にビタミンCは冬の含有量の20~30%程度にまで落ち込みます。
ほとんどの野菜は一年中手に入りますが、体にも家計にも優しい旬の野菜を活用してみてください。

調理法を工夫しよう

調理法を工夫することで効率よく野菜の栄養を摂れる場合があります。
例えばほうれん草やかぼちゃ、にんじんに多く含まれる脂溶性ビタミンであるビタミンAは油で炒めると吸収が高まります。

ブロッコリーやピーマンに豊富なビタミンCは熱や酸に不安定なので、そのまま生で食べたり、短時間で加熱する調理がおすすめです。
小松菜やほうれん草に多い鉄は、ビタミンCや肉、魚と食べると吸収率が上がります。

野菜に全般的に多く含まれるカリウムは調理中水に溶けだしやすい傾向があります。
煮汁も一緒に食べるか、生で食べると良いでしょう。

また、にんにくに存在するファイトケミカル、アリシンは豚肉などに多く含まれるビタミンB1と一緒に油で炒めるとビタミンB1の吸収がよくなり、疲労回復に良いとされています。

捨てている部分、大事な栄養が詰まっているかも?

野菜の皮など捨てられることの多い部分は、食べる部分よりも多くの栄養が含まれていることがあります。
100gのにんじんを皮つきで食べると、皮を剥いて食べたときよりもビタミンAは30μgRE、食物繊維は0.4g、カリウムは30mg、カルシウムは2mg多く摂ることができます。

大根の葉も捨てられがちですが、白い根の部分と違って葉は緑黄色野菜に分類されるほどビタミンAが豊富。
100gあたりのビタミンA含有量は根の場合0μgREですが、葉の場合は3900μgも含まれます。
ビタミンCに関しても葉の部分は根の部分の5倍近くにもなります。
そのほか、なすの皮にはファイトケミカルであるナスニンが抗酸化作用を示します。

まとめ

野菜には食物繊維やビタミン、ミネラル、ファイトケミカルが豊富に含まれ、健康を支える力があります。
低カロリー、低脂肪なのでダイエットにも効果的。
老若男女問わず積極的に摂取したいものです。
野菜の摂取目標量に到達するには1日あたりあと1~2皿程度野菜中心のおかずが必要です。
特に20~30歳代は野菜が不足傾向にあります。
週末まとめて作って冷凍、外食時のメニューの選び方を工夫するなどライフスタイルに合わせて無理なく野菜を増やせると継続できそうです。
野菜ジュースやサプリでもある程度の栄養補給はできますが、補助的なものとして捉えていた方がよさそうです。

野菜の栄養を効率的に取り入れるには、

  • 旬の野菜を選ぶこと
  • 調理方法を工夫すること
  • 捨ててしまっている皮なども食べること

がポイントです。
今が旬のかぼちゃをひき肉と煮ればひき肉の脂により吸収をビタミンAの吸収を高められます。
かぼちゃのわたや種も栄養が豊富。
わたは一緒に煮て、種は炒っておつまみにするといいかもしれません。
季節感を味わいながらお得に野菜生活を楽しみましょう!

参考文献

厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成29年)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
厚生労働省「旬を取り入れた食生活(春・夏)」<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-020.html>(参照2019.8.26)
厚生労働省「旬を取り入れた食生活(秋・冬)」<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-021.html>(参照2019.8.26)
厚生労働省「野菜、食べていますか?」<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html>(参照 2019.8.23)
農林水産省「みんなの食育」<http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_05.html>(参照2019.08.23)
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
辻村卓、 小松原晴美、荒井京子、 福田知子(1997)「出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化」ビタミン学会誌
中嶋洋子(2017)「改訂新版栄養の教科書」新星出版社
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部

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