トイレに行きたくて目が覚めるのは塩分の過剰摂取が原因かも

夜間頻尿には栄養が関係している?塩分控えると改善するかも

栄養状態が夜間頻尿に関連することが報告されています[1]。
トイレに行きたくて夜中に目が覚める人は、塩分摂取量が適切でないのかもしれません。
報告の内容と、食塩(ナトリウム)の摂取基準および控えるポイントをご紹介します。 

食塩摂取量と尿症状に関する報告

長崎大学の松尾らによって、塩分摂取が頻尿と相関することが報告されています[1]

~以下引用~
この研究は、食塩摂取量と下部尿路症状の関係を明らかにすることを目的に、728人の患者を対象に横断的臨床研究を行ったものである。食塩摂取量を推定するためにスポット尿を収集し、平均食塩摂取量(9.2 g /日)に基づいて対象者を2つのグループに分け、主要下部尿路症状スコアと3日間の排尿日誌を用いて評価した。
結果、高食塩摂取群の日中頻尿および夜間頻尿は、低食塩摂取群に比べて高かった。多変量解析の結果、食塩摂取が独立して夜間頻尿症に影響を与えることが示された。
~引用終わり~

ナトリウムの摂取基準と減塩のポイント

食塩摂取の増加が夜間頻尿を促す理由は不明ですが、著者らも指摘しているように高食塩摂取がもたらす飲水量の増加が関わる可能性があります。
大量に摂取した食塩は水分とともに細胞間液に一時的に貯留されるため、むくみが生じることもあります。
日本人の食事摂取基準[2]では、高血圧症の予防を目的とした食塩摂取の目標量(女性6.5、男性7.5 g/日未満)が設けられています。
平成30年の国民健康・栄養調査[3]によると、成人のナトリウム摂取量の平均値は約10.0 g/日であり目標量を上回っています。
このことから、多くの人は、食塩摂取を控えることが必要といえるでしょう。

食塩を多く含む食材には、インスタントラーメンやハム、魚肉ソーセージ、梅干しや漬物といった加工品が挙げられます。
これらの食品は摂りすぎないように、ラーメンは汁を飲み干さないなど工夫してみましょう。
調理するときに気を付けるべきことは、調味料を入れすぎないことです。
調味料には塩分濃度の高いものが多く、濃口しょうゆは小さじ1杯(6 g)で0.9 g、赤みそは大さじ1杯(10 g)で1.3 gもの食塩を含むと言われています[4]。
しっかりだしをとるなどして、調味料を少なめにしてみるのも良いでしょう。

引用文献

[1] T Matsuo, Y Miyata et al. Daily salt intake is an independent risk factor for pollakiuria and nocturia. Int J Urol. 2017; 24(5): 384-389.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成30年)」,<https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html>(参照2020-05-01)
[4] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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