マグネシウム摂取で睡眠の悩みが解決する?

マグネシウムが睡眠症状に関連するかも、足りていない人は要注意

昼間に強い眠気に襲われるのは、もしかしたら栄養状態が関係しているかもしれません。
マグネシウムの摂取が睡眠症状に関連することが報告されています[1]。
報告の内容と、マグネシウム摂取のポイントをご紹介します。

マグネシウム摂取量と睡眠症状に関する報告

オーストラリア、アデレード大学のCaoらによって、マグネシウムの摂取が睡眠症状に関連することが報告されています[1]。

~以下引用~
この研究は、食事からのマグネシウム摂取量と睡眠症状の関連を調査することを目的に、江蘇栄養研究に参加した20歳以上の成人1,487人のデータを使用し、調べたものである。マグネシウム摂取量を3日間の秤量法によって評価し、マグネシウム摂取量に従って4群に分けて追跡し、5年後に、日中の眠り、眠気、夜のいびきなどの睡眠障害の症状を、睡眠アンケートを用いて収集した。
対象者のマグネシウムの平均摂取量は332.5 mg /日、被験者の5.3%、13.2%、35.7%が、それぞれ、日中の眠り、日中の眠気、睡眠中のいびきを申告した。女性において、マグネシウム摂取が最も高い群(平均マグネシウム摂取量462 mg/日)の日中眠りに落ちる可能性は、エネルギー摂取量、BMI、収入、教育歴、喫煙率、アルコール消費量、高血圧などの要因で調整しても、マグネシウム摂取量がもっとも少ない群(平均マグネシウム摂取量186 mg/日)と比較して低かった。
結論として、食事​​によるマグネシウムの摂取は、女性が日中に眠りに落ちる可能性を減らすかもしれない。
~引用終わり~ 

マグネシウムの摂取基準と摂取のポイント

上記の研究における女性でのマグネシウムの効果は、マグネシウム摂取が2番目に少ない群(平均マグネシウム摂取量244 mg/日)においても認められていますので、マグネシウム摂取が極端に少ないと睡眠に悪影響を及ぼすと解釈すべきでしょう。
また解析において調整はしてはいますが、マグネシウム摂取量のもっとも少ない群ともっとも多い群とではエネルギー摂取量に1000 kcal/日以上の差があります。
したがって、測定されていませんが、マグネシウム以外の多くのビタミンやミネラルの摂取量にも差があったと考えられ、マグネシウム単独の効果と考えるのは早計かもしれません。

日本においては、成人男性で320~370 mg/日、成人女性で270~290 mg/日がマグネシウム摂取の推奨量として設定されています[2]。
一方、平成30年度国民健康・栄養調査における成人のマグネシウム摂取量の平均値は男性290 mg/日、女性258 mg/日であり、推奨量には届いていません。
しかし、サプリメントからの多量摂取は下痢を引き起こす可能性があるため、サプリメントからの摂取量には耐容上限量が設けられており(成人の場合350 mg/日、小児では5 mg/kg体重/日)[2]、サプリメントによってマグネシウムの摂取量を増やすことには注意が必要です。

マグネシウムを比較的多く(100 gあたり50 mg以上)含む食品には、ほうれんそう、木綿豆腐、水戻しわかめなどがあります[3]。
また、一般に魚介類は肉類よりも多くのマグネシウムを含んでいます。さらに日常的に大量に食べるものではありませんが、アーモンドなどのナッツ類や焼きのりは100 gあたりで300 mg程度のマグネシウムを含んでいます。
文部科学省が出す「食品成分データベース」[3]を参考にしながら、日常の食品の中でマグネシウムを多く含んでいるものを意識して献立を組み立て、さらにしっかりと量を摂取することにも心がけて、マグネシウムを含む多様なビタミンやミネラルの摂取が極端に少なくならないように心がけましょう。 

引用文献

[1] Cao Y, Zhen S et al. Magnesium Intake and Sleep Disorder Symptoms: Findings from the Jiangsu Nutrition Study of Chinese Adults at Five-Year Follow-Up. Nutrients. 2018; 10(10): 1354.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

著者 / 監修者