高血圧予防のためのカリウム摂取の目標量は

カリウム摂取が高血圧を予防する?カリウム摂取と高血圧に関する報告

カリウム摂取量の増加が高血圧とおよび脳卒中の予防に有益であることが報告されています[1]。

~以下引用~
この報告は、37件の研究を評価することによりカリウム摂取と健康の関連を体系的にまとめたものである。成人を対象にした22件のランダム化試験と11件のコホート研究からは、カリウム摂取量の増加は高血圧症の成人における血圧の有意な低下(収縮期血圧-3.49 mmHg、拡張期血圧-1.96 mmHg)と脳卒中発症リスクの有意な低下(カリウム90 mmol/日以上の摂取でリスク比0.70)を生じると結論できた。さらに、カリウム摂取量の増加は、心血管疾患発症リスクと冠状動脈性心疾患発症リスクも、有意ではないが数値的には低下させていた。また、カリウム摂取量の増加が腎機能、血中脂質、カテコールアミン濃度に悪い影響を与えることはまったくなかった。一方、小児を対象とした4件の研究からは、カリウム摂取量の増加が収縮期血圧を有意ではないが低下させる傾向があると認められた。
~引用終わり~ 

この報告から、カリウムを3510 mg/日(90 mmol/日)以上摂取することは高血圧や脳卒中の予防に効果的といえるでしょう。

日本における摂取基準と摂取状況

WHOのガイドライン、および日本人の食事摂取基準[2]では、ここで紹介した研究にもとづいて、カリウムを3510 mg/日以上摂取することが、高血圧症や虚血性疾患などの予防につながるとしています。
しかし、食事摂取基準[2]では、多くの日本人成人のカリウム摂取量が2000〜2500 mg/日であることから、実現性を考慮してカリウム摂取の目標量を成人男性で3,000 mg以上、成人女性で2,600 mg以上にとどめています。
このように、高血圧症予防や虚血性疾患の予防を考えた場合、日本人の多くは現状に加えて1000 mg/日程度のカリウム摂取が必要といえます。 

不足しがちなカリウム、摂取するポイントは

カリウムはいも類や野菜類、果実類、ひじきなどの海藻類に豊富に含まれます[4]。
1つの食材で一度に1,000 mg以上を補うことは難しく、複数の食材から摂取していくことが重要です。
水に溶け出てしまうため、ゆでる調理をするときはゆで過ぎないようにする、生で食べられる食材を活用する、といった工夫で効率よくカリウムを摂取できるでしょう。
切った断面からも出ていくため、野菜はカットする前に洗うのがおすすめです。 

おわりに

カリウム摂取が高血圧や脳卒中の予防に有効かもしれません。
豊富に含まれる食材を活用し、3510 mg/日の摂取を目指しましょう。 

引用文献

[1] Aburto NJ, Hanson S, Gutierrez H et al. Effect of increased potassium intake on cardiovascular risk factors and disease: systematic review and meta-analyses. BMJ. 2013; 3: 346 

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成30年)」,<https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html>(参照2020-05-29)
[4] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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