豚肉を食べて栄養摂取、部位の選び方と調理時のすすめ

豚肉にはビタミンB群やカリウムが豊富、部位ごとに肉質が異なります

日々の食事に欠かせない豚肉。
ビタミンB1を豊富に含む食品の一つで、ビタミンB2やビタミンB6、カリウムも多く含まれると言われています。
スーパーの精肉コーナーを見てみると、豚ロース、豚バラ、豚モモなど様々なものが並んでいます。
部位によってどんな特徴があるのか、まとめてみました。

かた
その名の通り、肩まわりの肉です。
かための肉質で、煮込み料理にされることが多いようです。
また、ひき肉として使われることもあるようです。

かたロース
かたとロースの間の肉です。
焼く、煮る、揚げる、炒めるなど、あらゆる調理で使えます。

ロース
肩の後ろから腰付近の背中側の肉で、柔らかな肉質が特徴です。
ソテーにしたり、とんかつにしたり、幅広く使われます。

バラ
お腹側の肉で、他の部位と比べて脂身が多く、濃厚な脂身が特徴です。
角煮や炒めもの、ベーコンなどに使われる部位です。

もも
お尻のまわりの部位で、脂身が少なく、あっさりしています。
焼く、揚げる、煮込むなど幅広く使えます。
ボンレスハムになるのもこの部位です。

そともも
ももの中でも運動量の多い部分で、肉のきめはやや粗く、肉色もやや濃いめです。
小間切れやひき肉で使われることが多いようです。

ヒレ
脂肪が少なく、柔らかな部位です。
焼いたり揚げたりされることが多いようです。

部位別の栄養価、比較してみた

「ビタミンB1を摂るには豚肉がいい」とよく言われますが、豚肉といってもどの部位を選んだらよいのでしょうか?
部位によって栄養価はどれほど違うものなのか、食品成分表[1]の数値から、各部位の栄養価をまとめてみました。

1. 100 gあたりの部位別栄養価(脂身つき)

この表から、次のような結果が得られました。

結果①:高たんぱく質かつ低脂質な部位、1位はヒレ、2位はもも
たんぱく質量が多いのは、ヒレ(100 gあたり22.2 g)、もも(100 gあたり20.5 g)でした。
一方で、脂質が少ない部位もヒレ(100 gあたり3.7 g)、もも(100 gあたり10.2 g)と同様の順位でした。
脂質はたんぱく質と比較してエネルギー量が高いため、高たんぱく質かつ低脂質であることは低カロリーであることにもつながります。

結果②:ビタミンB1、カリウムが多い部位、1位はヒレ、2位はもも
ビタミンB1が多いのは、ヒレ(100 gあたり1.32 mg)、もも(100 gあたり0.90 mg)でした。
なお、最も少ない部位のバラでも100 gあたり0.51 mgのビタミンB1が含まれていました。
また、カリウムが多いのも、同様にヒレ(100 gあたり430 mg)、もも(100 gあたり350 mg)でした。
カリウムが最も少ない部位はバラで240 mgでした。

結果③:ビタミンB2が多い部位、1位はヒレ、2位はかた、かたロース
ビタミンB2は、部位によって0.13~0.25 mgの幅が見られました。
100 gあたり、ヒレに0.25 mg、かたやかたロースに0.23 mgのビタミンB2が含まれているそうです。

結果④:ビタミンB6が多い部位、1位はヒレ、2位はそともも
ビタミンB6は、部位によって0.22~0.54 mgの幅が見られました。
100 gあたり、ヒレに0.54 mg、そとももに0.36 mgのビタミンB6が含まれているそうです。

2. 皮下脂肪を取り除いた場合

表2は、食品成分表に記載の「脂身なし」のデータ(100 gあたり)を、各部位の皮下脂肪を差し引いた重さあたりに換算したものです。
すなわち、100 gの肉を購入して脂身を切り落とした場合の栄養素量とみなせる値です。

結果⑤:ビタミン、ミネラルは赤身に多く含まれる
脂身つきの数値と比較すると、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびカリウムの数値はほとんど差がないことが分かります。
このことより、これらの栄養素はほとんどが赤身部分に存在していると言えそうです。
カロリーを抑えつつビタミン、ミネラルを摂りたい人は脂身を落として調理してみてもよいかもしれません。
脂身を落とすことによって、脂肪を5~10 gカットすることができ、エネルギーとしては40~90 kcalカットすることができるでしょう。

結論:ビタミンB1やカリウム豊富な部位はヒレやもも、脂を落として食べるのも吉

今回紹介したデータより、以下のことが言えそうです。

①高たんぱく質かつ低脂質な部位:ヒレ、次いでもも
②ビタミンB1、カリウムが多い部位:ヒレ、次いでもも
③ビタミンB2が多い部位:ヒレ、次いでかたかたロース
④ビタミンB6が多い部位:ヒレ、次いでそともも
⑤脂身(皮下脂肪)を落としても、ビタミン、ミネラル量はほとんど減少なし

より効率的に栄養を摂りたい人は、これらの結果を参考に部位を選んでみてはいかがでしょうか。
含有量が比較的少ない部位だとしても、他の食材と比較すると豚肉は上に挙げた栄養素が多く含まれます。
カロリーを抑えたい場合は脂身を落として調理するのもおすすめです。

参考文献

文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

著者 / 監修者