つらい関節痛、ビタミンDが足りていないことが原因かも?

関節痛とビタミンDに関連あり、栄養状態を見直そう

関節痛のお悩み、もしかしたら栄養状態が関係しているかもしれません。
ビタミンD状態が関節痛に関係している可能性が報告されています[1]。
この記事では、その報告の内容と、ビタミンDの摂取基準や摂取のポイントをご紹介します。 

ビタミンDと関節痛に関する報告

イラン、バボル医科大学のHeidariらによって、ビタミンD欠乏症と関節痛の関連が報告されています[1]。

~以下引用~
この研究は、ビタミンD欠乏症と原因不明の関節痛との関係を調べたものである。リウマチ科クリニックに来院した原因が明らかでない関節痛の患者167名(年齢38±12歳,女性の割合81%)および対照283名(年齢43±29歳,女性の割合77%)に対して、血清25-ヒドロキシビタミンD(25-OHD)を測定した。20 ng/ml未満のレベルをビタミンD欠乏,20 ng/ml~30 ng/ml未満をビタミンD不足,30 ng/ml以上をビタミンD充足とした。
その結果、ビタミンD欠乏者では関節痛となるリスクのオッズ比は約3倍,不足者では、約1.3倍となった.
結論として、血清25-OHD濃度と関節痛に有意な関連が示された。
~引用終わり~ 

ビタミンDの摂取基準と摂取するときのポイント

日本人の食事摂取基準[2]によると、ビタミンDの目安量は成人で8.5 µg/日と策定されています。
また、耐容上限量が100 µg/日と策定されており、サプリメントからの多量摂取をつづけると高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こるため注意が必要です。
なお、紫外線による皮膚での産生は調節されており、必要以上のビタミン D は産生されないため、日照によるビタミン D 過剰症は起こりません。

ビタミンDを含む食品は少なく、主に魚肉に限られます。
サケ(紅鮭、しろ鮭)は1切れ(80 g)あたりのビタミンDが25 µg程度と非常に多く含まれています[3]。 

なお、人でも、皮膚に存在するプロビタミンD(7-デヒドロコレステロール)が日光の紫外線によりプレビタミンDとなり、体温による熱異性化によりビタミンDが生成します。
5.5 μgのビタミンDを作るのに必要な日射量は、顔面と手の甲の面積の皮膚で、つくばあたりの緯度で夏の正午であれば3.5分程度で、札幌あたりの緯度で冬の正午であれば76分程度で合成可能という報告があります[2]。
緯度と季節でずいぶんビタミンDの合成量は異なるので、食事による供給は大切です。
魚類が苦手な人にはビタミンDサプリメントがお薦めです。 

引用文献

[1] Heidari B, Heidari P et al. Relationship between unexplained arthralgia and vitamin D deficiency: a case control study. Acta Medica Iranica. 2014; 52(5): 400-5.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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