ついつい食べすぎ、飲みすぎてしまうパーティーシーズン。胃もたれや二日酔いに良い栄養を解説

早いもので令和元年も残りわずかとなりました。
忘年会にクリスマス、お正月とイベントが続き、ついつい食べ過ぎ飲み過ぎてしまって胃もたれや二日酔いに悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで、胃もたれや二日酔いになった時や予防におすすめの栄養を紹介します。

胃もたれしたら、おなかにやさしいもので栄養をとろう

胃もたれってどんな状態?

胃の粘膜に傷ついた状態です。
食べ過ぎや飲み過ぎによって胃酸が過剰分泌されたり、胃粘液の分泌量が減ったりすると、胃粘液が胃を守り切れなくなり、胃もたれが生じます。

脂質や食物繊維を抑え、消化の良いものを

胃もたれがある日は胃をいたわることが肝心。
胃の中にある時間が短くてすむ、消化の良いものを選びましょう。

三大栄養素では糖質が最も消化がよく、次にたんぱく質、脂質は最も時間がかかります。
食物繊維は胃では消化されないので胃もたれのときには抑えた方が良いでしょう。
食物繊維は玄米、ごぼう、きのこ、海藻類、こんにゃくなどに多く含まれます。

調理の仕方によっても消化の早さは変わります。
ゆでたり、煮たりしたものは胃液と混ざりやすく、消化されやすいです。
おかゆやうどんは消化に良いですが、同時に、たんぱく質やビタミンを摂って胃粘膜を修復させてあげることも大切。
溶き卵や野菜をおかゆやうどんと一緒に煮込むと良いかもしれません。

胃もたれを防ぐ栄養素は?

ムチンが胃の粘膜を保護してくれる

ムチンには、細胞と細胞をつなぐ保水力を持ち、胃の粘膜を保護する働きがあります。

ビタミンUが胃の修復を助けてくれる

ビタミンUはあまりなじみがないかもしれませんが、キャベジンという別名はよく知られているのではないでしょうか。

ビタミンUはキャベツから発見された胃潰瘍予防に効果があるといわれる成分です。
必須栄養素ではないため厳密にはビタミンには分類されませんし、摂取の目安もありません。
しかし、胃酸の分泌を抑制したり、粘膜の新陳代謝を促進してくれると考えられているため、医薬品などに使われています。

ビタミンUはキャベツやパセリ、レタスなどに豊富に含まれます。
熱にあまり強くないので、生で食べるのがおすすめです。
加熱する場合は短時間が良いでしょう。
そのほかにもタンパク質は胃の壁や粘膜の材料となり、ビタミンA、C、Eは傷ついた胃の修復に役立つと考えられていますのでおすすめです。

熱すぎ、冷たすぎ、辛すぎ、しょっぱすぎ、甘すぎ、、、「~すぎ」は摂りすぎ注意

上記のような刺激強めの食べ物は胃にとっても刺激的。
こうしたものの食べ過ぎは胃の粘膜を傷つけるおそれがあります。
我慢しすぎなくても大丈夫ですが、食べ過ぎには注意しましょう。

規則正しく、よく噛んで食べよう

規則的な食事は規則的な胃液の分泌に繋がるといわれています。
こうすることで胃の負担が軽減されると考えられます。
また、噛むことで食べた物が唾液と混ざり、口の中でも消化がすすみます。
そのため、よく噛んでから飲み込むのも胃の負担を減らしてくれます。
1日3食なるべく同じ時間に、よく噛んで食べて胃に楽をさせてあげましょう。

二日酔いは治すより予防が大切

二日酔いがなぜ起きるかはまだ解明されてない

頭が痛かったり、吐き気がしたり、だるかったり・・・二日酔いを経験したことがある方は多いのではないでしょうか。
実は、二日酔いの定義や診断基準はなく、二日酔いが発生する理由もまだ解明されていないのです。
有力な説としては以下のようなものがあります。

  • 軽いアルコール中毒からの離脱症状
  • ホルモンの異常による脱水や低血糖
  • 体内が酸性に傾くことによるpHバランス崩れ
  • 炎症反応
  • アルコールを分解してできる有害物質アセトアルデヒドの影響

二日酔いを劇的に治す治療法は存在しない

二日酔いの対処法はいろいろと出回っていますが、科学的に検証されたものは非常に少なく、明らかに効果のある治療法は現段階で存在しないといわれています。
二日酔いは時間が経てば次第によくなるので、無理には動かず体を休ませるのが良さそうです。
そしてはっきりした対策がない以上、次の日を気分よく迎えるためには二日酔いにならないようにすることが大切です。

次に、二日酔い予防に効果が期待される栄養について紹介していきます。

二日酔いを予防する栄養素は?

お酒を飲む前には乳製品

乳製品を飲むと胃に粘膜がはられて二日酔いを予防できるとよくいわれます。
これを支持する研究報告があり、牛乳に含まれる「ウシα-ラクトアルビミン」が胃の粘液分泌を増やし、胃を守る層を分厚くしてくれるとされています。
飲み会前には一度牛乳や飲むヨーグルトなどを摂ると良いかもしれません。

アルコールの分解にはナイアシン

接種されたアルコールは、小腸から吸収された後、肝臓に運ばれ、アセトアルデヒドとなり、酢酸へと分解されます。
酢酸はお酢の成分でもあり無害ですが、アセトアルデヒドは有害物質。
悪酔いを起こしたり、二日酔いの原因にもなったりする成分です。
そんなアセトアルデヒドを無毒化する時の酵素を助けてくれるのがナイアシンです。
たくさん摂取すれば二日酔いを予防できる、という訳ではありませんが不足するとアルコール分解に支障が出る可能性があるので摂っておくとよさそうです。
魚や肉に多く含まれ、特にレバーやまぐろ、かつおに豊富です。

お酒をたくさん飲んだときにはビタミンB1も

先ほど、アルコールは肝臓でアセトアルデヒドから酢酸へ分解されると説明しました。
しかし、アルコールを大量に摂取したときにはそれだけでは分解が間に合わず、ビタミンB1が働きます。
ビタミンB1はアセトアルデヒドからアセトインという物質に分解していきます。
ビタミンB1は豚肉に多く含まれます。

セサミンがアルコール分解を促進してくれる

セサミンはごまに含まれる成分で、コレステロールを低下させたり、免疫を活性化させたり作用などが知られています。
そんなセサミンはアルコール分解を促進する作用があると言われています。
胡麻和えやごま油を使ったナムルなどといったおつまみを摂り入れるといいかもしれません。

ごちそうもお酒も適量が一番

胃もたれや二日酔いの対応や予防に効果的とされる栄養について紹介してきました。

胃もたれになったら脂質や食物繊維を控え目に消化のよいものをとりましょう。

ムチンが胃粘膜を保護し、タンパク質、ビタミンA、C、E、Uが胃を丈夫にしてくれるので胃が回復してたら様々な栄養補給を行いましょう。

二日酔いは明確な対処法がないのが現状で、次の日を気持ちよく迎えるためには二日酔いを防げるような飲み方、食べ方にするのがおすすめです。

お酒を飲む前には乳製品で胃粘膜を守りましょう。

ナイアシンやビタミンB1、セサミンはアルコール分解を行う補酵素になったり、分解を促進する成分です。アルコール分解がスムーズに行われるよう、おつまみにはこれらの栄養素を含んだまぐろのお刺身や胡麻和えなどを選ぶと良いと考えられます。

いずれも大量に摂取したところで効果が増強される訳ではないので、ごちそうもお酒も適量がベスト。
特に、胃もたれの慢性化は胃潰瘍といった病気になることもありますので、食べたり飲んだりする量をコントロールできると良いですね。

参考文献

厚生労働省「二日酔いのメカニズム」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html (参照2019.12.20)
秋元健吾、清水昌氏(1994)「ゴマの微量成分とアルコール代謝ーセサミンの生理活性を中心としてー」日本醸造協会誌
糸川嘉則(2004)「代替医療としての『ビタミン・ミネラル』」日本補完代替医療学会誌
牛田吉彦、下川由紀子、松本宏志、樋田光徳、田村吉隆(2005)「ウシα-ラクトアルビミンの胃粘膜保護作用とその作用機序」ミルクサイエンス
樋口進(2009)「二日酔いの科学」アルコール関連問題予

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