高血圧の食事療法といえば減塩。
今回は、日本の代表的なスーパーフードでもある納豆で、手軽に美味しく、飽きずに減塩しながら楽しむテクニックを紹介します。
※本記事の納豆は、食品成分表における糸引き納豆の栄養成分を元に作成しています。
高血圧の敵、塩分(ナトリウム)
高血圧の最大の原因といわれる高塩分の食事。
人間の体には血液中の塩分濃度を一定に保とうとする働きがあります。
塩分を過剰摂取すると血液中の塩分濃度が高まり、水分が取り込まれ、血管に大きな圧力がかかります。
これが高血圧を引き起こす原因と言われています。
高血圧に納豆が良い?
納豆は、畑の肉とも言われる大豆が原材料。
高血圧の方に嬉しい栄養素が豊富な発酵食品です。
1.ナトリウムを追い出すカリウムが豊富
カリウムには、ナトリウムの尿中排泄を促す働きや血管へのコレステロール沈着防止効果があります。
2.動脈硬化を予防するビタミンB2が豊富
脂肪の代謝に不可欠であり、動脈硬化を予防するビタミンB2の含有量は大豆のおよそ2倍!
抗酸化作用があるビタミンEも多く含まれます。
3.血液をサラサラにするナットウキナーゼが豊富
ナットウキナーゼは納豆の発酵過程で生まれる酵素。
血栓を溶かして血液をサラサラに保ち、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
たくさん摂取することで、高血圧の予防や治療に効く可能性があるという報告があります。
手軽に美味しく、飽きずに減塩
意外に多い、タレ・からしの塩分量!?
高血圧患者の塩分摂取量の基準値は、1日当たり6g未満。
対して付属のタレの食塩相当量は0.8g(うち、からしは0.1g)。
そのまま使うと納豆1品で1日のおよそ1/6を摂取している計算に!(毎食とると1日の約半分!!)
納豆の効果を最大限発揮するために、一手間加えることで手軽に美味しく、飽きずに減塩できる方法を紹介します。
黒酢で血圧を下げる効果をUP!
黒酢には血圧の上昇を抑制するアデノシンが含まれます。
お酢には血圧を下げるクエン酸も含まれており黒酢の含有率は他の種類よりも高く、より効果が期待できます。
黒酢は塩分がなく、タレの代わりに使えば味を薄めず美味しく減塩できます。
山椒の風味でタレを減らして美味しさUP!
山椒は、減塩食でも塩味を強くして満足のいく味付けに近づけられると言われています。
タレの量を減らしても山椒があれば美味しさUP!
半分にすれば塩分量は約0.4gで、いつもと違う納豆を楽しめるオススメテクニックです。
大根おろし+ポン酢でカリウム量UP!
大根おろし(1食100g当たり)と、納豆(1食50g当たり)を一緒に食べると、カリウム量は合計520mg。
目安量(成人男性の1日当たり)は2500mgなので、1品で1日の1/5を摂取できます。
更にタレを同量(5.5g)のポン酢に変えれば、塩分量を0.4gに抑えることができ、ナトリウム・カリウムバランスの調節に効果的です。
※腎不全の方は、高カリウム血症を引き起こす恐れがあるため、摂取量は1.5g以下までに抑えてください。
美味しさは妥協せず、上手に減塩
習慣的に食べる人も多い納豆。
意外に多い塩分量を抑えて、飽きずに美味しく食べるテクニックをご紹介しました。
ぜひ今夜の晩御飯、明日の朝食から試してみてはいかがでしょうか。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
厚生労働省「e-ヘルスネット」
文部科学省「日本食品標準成分表」
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