塩分過剰気味な人が知っておきたい、カリウムの効果的な摂取方法

和食によく登場する塩、醤油、味噌などの食塩系調味料。
食事から摂る塩分(ナトリウム)量がつい多くなってしまいがちな日本人。
私達がうまく塩分と付き合う方法とは?その問いの鍵はカリウムにあります。

カリウムとは?ナトリウムとの関係性から考えてみよう

人の体液は大きく「細胞外液」「細胞内液」に分けられます。
ナトリウムの大部分は細胞外液、カリウムの大部分は細胞内液に存在しています。

そのため、カリウムの対となるナトリウムは、過剰にとると細胞外液、つまり体を循環する血液量が増大するため血圧が上がったり、むくみを生じたりします。
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、過剰なナトリウムを排出します。
尿中への排泄を促進するため、血圧を下げたりむくみを解消する効果があります。

このように、カリウムとナトリウムは対のはたらきを担っており、双方バランスよく存在する事が重要です。

日本人は塩分を摂りすぎている

日本人はいわゆる「さしすせそ」
さ→砂糖、し→塩、す→酢、せ→醤油、そ→味噌
の調味料に親しみ深い生活を送っています。
その中でも醤油や味噌、塩は食塩系調味料であり、日本食に頻繁に使われています。

日本人が推奨されている1日塩分摂取量は男性8.0g未満女性7.0g未満と言われています(高血圧の人は6.0g未満)。
一方、平均の1日塩分摂取量は男性10.3g女性8.8gという調査結果があり、塩分を摂りすぎている傾向にあるというのが現実のようです。
塩分はナトリウムの摂取源であるため、これは日本人がナトリウムを摂りすぎている事と同じです。

また前述した通り、カリウムは過剰なナトリウムを排出するはたらきがあります。
そのため、塩分を多く摂る傾向にある日本人はカリウムが不足しやすい食文化にいると言えるでしょう。
実際にカリウムが不足傾向にあるというデータがあります。

カリウムの不足・摂りすぎによって…?

カリウムはさまざまな食品に含まれており、通常の食事では不足しにくいと言われています。
しかし前述のように、日本人はカリウムが不足傾向にあります。
なぜなら、塩分を過剰摂取している日本人は余分なナトリウムを排泄しようとカリウムがたくさん使われてしまうためです。

また、嘔吐や下痢、利尿薬の長期服用でカリウムが大量に排出される事で低カリウム血症になる事があります。
主に脱力感、筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺など電解質異常の症状が起きます。

また、カリウムは水溶性のミネラルで水に溶けやすく、余分なものは通常尿中に排出されるため、過剰症も通常の食事では起こりにくいと言われています。
しかし、腎機能の低下によりこの排出がうまくいかなくなったり、カリウムのサプリメントを過剰摂取する事を原因として高カリウム血症となり、最悪心停止を引き起こす事があります。

カリウムを効率よく摂取しよう

カリウムを多く含む食品

カリウムは昆布やワカメといった海藻やほうれん草やにらなどの野菜、大豆やインゲンといった豆類、さつまいもや里芋などのいも類などの植物性食品に多く含まれています。
カリウムが多い果物にはバナナやアボカド、また夏にぴったりなスイカやメロンなどがありますので、これからの季節にもってこいですね。

また、肉や魚介類など動物性食品にもたくさん含まれています。

基本はそのまま食べる

カリウムは水溶性のミネラルであるため、煮たり茹でたりすると溶け出してしまいます。
野菜や果物はそのままサラダやカットフルーツにしていただくとよいでしょう。

また、日本人の食卓によく並ぶものとしてお味噌汁がありますね。
前述したように、味噌も食塩系調味料。
ナトリウムを追い出すため、具材はカリウムが多い食品を選んだり、献立に上記のようなサラダや果物を加えて、ナトリウムと同時にカリウムの多い食品を摂るようにしましょう。

まとめ

日本人の食生活に塩分は切って離せないものです。
塩分の摂りすぎによってカリウムが不足してる人が多い日本。
塩分を多く摂っている分、サラダやカットフルーツ、お味噌汁には海藻やいも類、魚介類などをたくさん入れるなど、カリウムを意識して摂るようにするとカリウムとナトリウム、バランスよく摂れるかもしれませんね。

<参考文献>

1)健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」,https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html ,(2019年6月6日最終アクセス)
2)健康長寿ネット「ナトリウムの働きと1日の摂取量」, https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-na.html ,(2019年6月6日最終アクセス)
3)厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査の結果」, https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf (2019年6月9日最終アクセス)
4)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」, https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf ,(2019年6月9日最終アクセス)

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