炎症と栄養の関係 ~マグネシウムがCRP値に関与する~

炎症は万病のもと、マグネシウムの摂取が関係しているかも

マグネシウムの摂取量と血液中のC反応性タンパク質(CRP)量が反比例することが報告されています[1]。
CRPは体内で炎症が起きている場合につくられます。
慢性的な炎症は糖尿病やがんなどあらゆる病気につながるとも言われていることから、マグネシウムを豊富に含む食品を日々の食事に取り入れることで、疾病の予防につながるかもしれません。
報告の内容と、マグネシウムの摂取基準や摂取のポイントをご紹介します。 

マグネシウム摂取と血清CRPレベルに関する報告

アメリカ、インディアナ大学のDibabaらによって、マグネシウムの摂取量と血清CRPが逆相関することが報告されています[1]。

~以下引用~
この報告は、一般集団における食事性マグネシウム摂取量と血清CRPレベルとの関連について、32,918人の参加者を含む7つの横断研究をレビューしたものである。7つの研究中、4つの研究(マグネシウム摂取の中央値が225〜422 mg/日)をまとめると、血清CRP量の対数変換値とマグネシウム摂取量との間にはr=0.68の逆相関が認められた。一方、残りの3つの研究(マグネシウム摂取の中央値が205〜398 mg/日)をまとめ、対象者をマグネシウム摂取量に従って5つの群に分け、血清CRPが3 mg/L以上の者の割合を比較したところ、摂取量がもっとも少ない群の摂取量のもっとも高い群に対するオッズ比は1.49であった。また、マブネシウムサプリメントを投与した5つの介入研究においても、血清CRP量に対するマグネシウム摂取の有益な効果が示されていた。
結論として、このレビューは、マグネシウム摂取量を増やすことで血清CRP量が有意に低下することを示している。
~引用終わり~ 

マグネシウムの摂取基準と摂取のポイント

日本においては、成人男性で320~370 mg/日、成人女性で270~290 mg/日がマグネシウム摂取の推奨量として設定されています[2]。
一方、平成30年度国民健康・栄養調査における成人のマグネシウム摂取量の平均値は男性290 mg/日、女性258 mg/日であり、推奨量には届いていません。
しかし、サプリメントからの多量摂取は下痢を引き起こす可能性があるため、サプリメントからの摂取量には耐容上限量が設けられており(成人の場合350 mg/日、小児では5 mg/kg体重/日)[2]、サプリメントによってマグネシウムの摂取量を増やすことには注意が必要です。 

マグネシウムを比較的多く(100 gあたり50 mg以上)含む食品には、ほうれんそう、木綿豆腐、水戻しわかめなどがあります[3]。
また、一般に魚介類は肉類よりも多くのマグネシウムを含んでいます。
さらに日常的に大量に食べるものではありませんが、アーモンドなどのナッツ類や焼きのりは100 gあたりで300 mg程度のマグネシウムを含んでいます。
文部科学省が出す「食品成分データベース」[3]を参考にしながら、日常の食品の中でマグネシウムを多く含んでいるものを意識して献立を組み立てることから始めてみると良いでしょう。 

引用文献

[1] D T Dibaba, P Xun et al. Dietary magnesium intake is inversely associated with serum C-reactive protein levels: meta-analysis and systematic review. 2014; 68(4):510-6.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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