栄養を逃がさず乾燥ひじきを調理!上手に戻して効率的にミネラルを摂取しよう

栄養豊富なひじき、ミネラルや食物繊維がたっぷり

栄養豊富なひじきは日本人の食卓には欠かすことのできない食材の一つです。
煮物になったり、サラダになったり、炊き込みご飯になったり、様々な料理で活躍します。
特に乾燥ひじきは日持ちするため、使い勝手がよく便利な食材です。
ひじきはミネラルを豊富に含み、乾燥ひじきたったの5 g(大さじ1.5程度)にカリウムは320 mg、マグネシウムは32 mg含まれると言われています。(表1)
一方で、カロリーは5 gでたったの7.5 kcal。
バランスのよい食事のためには、ぜひ有効に活用したい食材ですよね。

表1:乾燥ひじきの栄養価と食事摂取基準の比較

乾燥ひじきは調理前に「戻す」ことが必要

乾燥ひじきを調理するときに必要なのが「戻す」という処理。
水に浸けて時間を置くだけの「水戻し」のほか、火にかける「ゆで戻し」、そのどちらも行う「ゆでこぼし」などが存在します。
ここで心配になってくるのが、含まれているミネラルが水に溶け出していくこと。
できることなら栄養素を無駄なく摂取したいですよね。

栄養を逃がさないひじきの戻し方、実験してみた

そこで、戻し方3つ(水戻し、ゆで戻し、ゆでこぼし)を比較してみました。
ひじきには茎部分で歯ごたえのある「長ひじき」と芽の部分でやわらかい「芽ひじき」がありますが、今回は芽ひじきを使って実験しています。
乾燥ひじき5 g分で比較します。調理後重量はそれぞれ50 g程度でした。
これはひじきの煮物に換算すると、およそ1人前に当たるかなという量です。

1. 水戻し(調理時間:約30分)

水に入れて30分間置くだけ、最も簡単に戻せる方法です。

〈材料〉
・乾燥ひじき(芽ひじき) 5 g
・水 150 mL

〈作り方〉

(1)ボウルに乾燥ひじき、水を入れ、常温で30分間静置する。
(2)ざるを使って戻し水を捨てる。
(3)流水(分量外)で20秒間洗い流す。

2. ゆで戻し(調理時間:約10分)

ゆでることによって戻す方法です。
少し手間はかかりますが短時間で戻すことができます。

〈材料〉
乾燥ひじき(芽ひじき) 5 g
水 150 mL

〈作り方〉

(1)なべに乾燥ひじきと水を入れ、強火で加熱する。
(2)沸騰したら火力を調整し、沸騰状態で5分間ゆでる。
(3)ざるを使ってゆで汁を捨て、流水(分量外)で20秒間洗い流す。

3. ゆでこぼし(調理時間:約40分)

水戻しとゆで戻しをどちらも行う方法です。

〈材料〉
乾燥ひじき(芽ひじき) 5 g
水 150 mL
お湯 150mL

〈作り方〉

(1)ボウルに乾燥ひじき、水を入れ、常温で30分間静置する。
(2)戻し水を捨て、なべにお湯とひじきを入れて加熱する。
(3)沸騰後5分間ゆで、ざるに取り上げる。
(4)流水(分量外)で20秒間洗い流す。

結論:30分の「水戻し」で効率的に栄養摂取、ヒ素を減らせる「ゆでこぼし」で食べる量を増やすのもあり

表2:戻し方による乾燥ひじきの栄養価の違い

実験の結果をまとめると(表2)、水戻しが最もミネラル量が多いという結果になりました。
栄養を効率よく摂取したい場合はこの方法を使うとよいでしょう。
ちなみに、減少したミネラル分は戻し水に流れ出ている可能性が高いです。
「だったら戻し水もそのまま料理に使ってしまえば?」
そう思う人もいると思いますが、こんな懸念もありますのでご参考までに。


ひじきに毒が入っている?

ひじきにはヒ素(無機ヒ素)が含まれていることが知られています。
このヒ素が発がんリスクを上げる可能性が懸念されており、それによって「ひじきには毒がある」と言われたりするようです。
ヒ素も戻すときに水に溶出すると言われており、農林水産省の報告によると、水戻しで5割、ゆで戻しで8割、ゆでこぼしで9割を取り除くことができるそうです。
つまり、「ヒ素を除くにはゆでこぼしが良い」と言えるでしょう。

特徴を理解して上手に活用すべし!

ひじきは食物繊維も多く含む食材。
ゆでこぼしでヒ素をたくさん取り除くことでミネラルも比較的多く逃してしまいますが、その分食べる量を増やしてしまえば、食物繊維もたくさん摂れて、かえってお得なのかもしれません。
少ない量でミネラルをたくさん摂取したいなら「水戻し」。
たくさん食べてミネラルも食物繊維もたくさん摂取するなら「ゆでこぼし」。
それぞれの特徴を理解して、上手に活用することをおすすめします。


おまけ

食品成分表の栄養素量と今回の調理での栄養素量、見比べてみると、数値に差があることにお気づきでしょうか?
詳しい原因は分かりませんが、産地や加工方法などで商品によってもばらつきがあるのかもしれません。
今後検討の余地がありそうです。

参考文献

文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)
厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」,<https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
農林水産省(2015)「乾燥ヒジキのヒ素を減らす調理法の調査結果」, <https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/g_kenko/busitu/pdf/chousa.pdf>(参照2020-02-14)

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