ビタミンB2の摂取量と心代謝系疾患リスクに関する報告
韓国、忠安大学のShinらによって、ビタミンB2(リボフラビン)の不足が心代謝系疾患(心血管疾患や2型糖尿病)のリスクを上げる可能性が報告されています[1]。
~以下引用~
この研究は、韓国人の性別に応じたビタミンB2摂取量と心代謝系疾患リスクとの関連を調べることを目的に、韓国国民健康栄養調査2015-2016のデータ(19歳以上の合計6,062人)を使用し分析を行ったものである。メタボリックシンドロームは中心性肥満に高血糖、高血圧、高トリグリセリド、低HDL-コレステロールを含む疾患群で、心代謝系リスクの中心であると言われている。
共変数を調整した後の数値において、男性はビタミンB2摂取とはLDL-コレステロールのみで相関が見られたが、女性においてはビタミンB2摂取不足(1.2 mg/日未満)と高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームに相関が見られた(オッズ比1.35、1.49、および1.29)。また、閉経後の女性では中心性肥満(内臓脂肪型肥満)とも相関が見られた。
ビタミンB2の摂取量が不十分だと、特に女性の心代謝系疾患の発症につながる可能性がある。
~引用終わり~
この報告より、ビタミンB2摂取不足の女性は高血圧、糖尿病、およびメタボリックシンドロームのリスクが高いと言えるかもしれません。
日本人女性におけるビタミンB2の推奨量と摂取状況
日本人の食事摂取基準[2]によると、ビタミンB2推奨量(ほとんどの人が必要量を満たすであろうと推定される摂取量)は、リボフラビンとして1.2 mg/日(18歳以上、女性)と策定されています。
平成30年の国民健康・栄養調査[3]によると、成人女性のビタミンB2の平均摂取量は1.13 mg/日です。
また、年代別に見てみると、20~40代では1.0 mg/日程度です。ビタミンB2推奨量よりも少ない値ですが、少ないからと言って、直ちに不足しているという評価はできません。
食事摂取基準[2]において、「ビタミンB2」の項の「活用に当たっての留意事項」には、「推定平均必要量(50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量。18歳以上、女性の場合は1.0mg/日)は、舌縁痛、口唇外縁痛が起こり、歯茎、口腔粘膜より出血という欠乏症を回避する最小摂取量からではなく、体内飽和を意味すると考えられる尿中排泄量が増大する最小量から算定している。」という記載があります。なお、推奨量の値は、この推定平均必要量×1.2という計算方法で求められます。不足しているという評価をするためには、尿中のビタミンB2量を測定することが必要です。
ビタミンB2を摂るためのポイント
ビタミンB2は、レバーや肉類、魚介類、牛乳、卵などに多く含まれます[4]。
魚肉ソーセージ1本に0.54 mg、牛乳1杯で0.35 mg、鶏卵1個に0.24 mgのビタミンB2が含まれおり、これらを日々の食事にプラスすることでビタミンB2を補うことが出来そうです。
また、手軽に補うためにはサプリメントを活用するのもよいでしょう。
なお、野菜類、果物類には、ビタミンB2などのB群ビタミンは、ほとんど含まれていないので注意してください。
おわりに
ビタミンB2を充足させることが高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームの予防、心血管疾患の予防につながるかもしれません。
ビタミンB2を豊富に含む食品は肉類です。肉類は同時に脂肪も摂ってしまいます。ビタミン剤やビタミンサプリメントから摂り入れるとよいと考えます。
引用文献
[1] Woo-Young Shin, Jung-Ha Kim. Low Riboflavin Intake Is Associated With Cardiometabolic Risks in Korean Women. 2019; 28: 285-299.
参考文献
[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成30年)」,<https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html>(参照2020-05-01)
[4] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)