片頭痛やうつ病などの神経疾患にマグネシウムが効果的?

神経疾患と栄養素の関係、マグネシウムが有益かも

片頭痛やうつ病には、栄養状態が関係しているかもしれません。
マグネシウムが片頭痛やうつ病に有益であることが報告されています[1]。
この記事では、報告の内容と、マグネシウムの摂取基準および摂取のポイントをご紹介します。 

マグネシウムと神経疾患に関する報告

アメリカ、アメリカン大学のKirklandらによって、マグネシウムと神経疾患について報告されています[1]。

~以下引用~
片頭痛やうつ病などの神経障害とマグネシウムの関連について、最近の文献を収集し、まとめた。マグネシウムの経口投与によって片頭痛発作の頻度や強さが大幅に減少したことが報告されており、毎日600 mgのマグネシウム摂取が片頭痛の予防および生活の質の改善に有益である可能性が示唆されている。
うつ病に関する11件の研究についてのメタアナリシスでは、食事からのマグネシウム摂取とうつ病のリスクとの関係が報告されており、320 mg/日のマグネシウム摂取がリスク低減に最適であると結論付けている。また、低マグネシウム血症のうつ病患者に250 mgのマグネシウムを8週間投与した研究では、うつ病スコアが大きく改善されている。
結論として、片頭痛とうつ病におけるマグネシウムの役割を示唆する強力なデータと、慢性的な痛み、不安、脳卒中に対するマグネシウムの保護効果を示唆する新たなデータがある。てんかん、およびパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経疾患については追加の研究が必要である。また脳卒中後の改善効果に対してもプラスの結果を示す報告が存在する。
~引用終わり~

マグネシウムと神経疾患については多くの報告があり、特に片頭痛やうつ病予防にはマグネシウム摂取不足を回避することが有効かもしれません。 

マグネシウムの摂取基準と摂取のポイント

日本においては、成人男性で320~370 mg/日、成人女性で270~290 mg/日がマグネシウム摂取の推奨量として設定されています[2]。
この推奨量は上記の研究が述べているうつ病のリスク低減にもっとも効果がある摂取量にほぼ一致しています。
一方、平成30年度国民健康・栄養調査における成人のマグネシウム摂取量の平均値は男性290 mg/日、女性258 mg/日であり、推奨量には届いていません。
したがって、献立を工夫してマグネシウムの摂取量を推奨量に近づけるようにしましょう。

なお、サプリメントからの多量摂取は下痢を引き起こす可能性があるため、サプリメントからの摂取量には耐容上限量が設けられており(成人の場合350 mg/日、小児では5 mg/kg体重/日)[2]、サプリメントによってマグネシウムの摂取量を増やすことには注意が必要です。血清マグネシウム濃度が低い場合も自己判断でサプリメントに頼るのではなく、まず専門家に相談すべきです。

マグネシウムを比較的多く(100 gあたり50 mg以上)含む食品には、ほうれんそう、木綿豆腐、水戻しわかめなどがあります[3]。
また、一般に魚介類は肉類よりも多くのマグネシウムを含んでいます。
さらに日常的に大量に食べるものではありませんが、アーモンドなどのナッツ類や焼きのりは100 gあたりで300 mg程度のマグネシウムを含んでいます。
文部科学省が出す「食品成分データベース」[3]を参考にしながら、日常の食品の中でマグネシウムを多く含んでいるものを意識して献立を組み立ててみると良いでしょう。 

引用文献

[1] Kirkland AE, Sarlo GL et al. The Role of Magnesium in Neurological Disorders. Nutrients. 2018; 10(6): 730.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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