髪の毛が抜けないようにビタミンDを摂取すべき?~円形脱毛症とビタミンDの関係~

ビタミンDと円形脱毛症に関する報告

イスラエル、シャーレゼデックメディカルセンターのMahamidらによる、円形脱毛症とビタミンDの栄養状態の指標となる血清25-ヒドロキシビタミンDレベルとの関係を調べた報告では、ビタミンD不足は円形脱毛症のリスクが高いとのことです[1]。

~以下引用~
この研究は、血清25-ヒドロキシビタミンDレベルと円形脱毛症の関連を調べることを目的に、円形脱毛症と診断された23名と、性別と年齢が同じ対照者との間で比較したものである。なお、円形脱毛症は自己免疫疾患で、主な治療方法はステロイドホルモンによる対処療法である。ビタミンDはステロイド骨格を有する脂溶性ビタミンである。
この報告では、体内で炎症反応が起きている時に高くなる血清C反応性タンパク質(CRP)の値は円形脱毛症群で有意に高く、血清25-ヒドロキシビタミンDレベルは有意に低かった。多変量解析の結果より、CRP(>1)と血清25-ヒドロキシビタミンDレベル(<30 ng/mL)は円形脱毛症と関連していた(オッズ比3.1、2.3)。
結論、円形脱毛症とビタミンD欠乏症の間に、有意な相関関係が示された。
~引用終わり~ 

日本における摂取基準

日本人の食事摂取基準[2]によると、ビタミンDの目安量は成人で8.5 µg/日と策定されています。
また、耐容上限量が100 µg/日と策定されており、サプリメントからの多量摂取をつづけると高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こるため注意が必要です。
なお、紫外線による皮膚での産生は調節されており、必要以上のビタミン D は産生されないため、日照によるビタミン D 過剰症は起こりません。 

ビタミンDを摂るためのポイント

ビタミンDを含む食品は少なく、主に魚肉に限られます。
サケ(紅鮭、しろ鮭)は1切れ(80 g)あたりのビタミンDが25 µg程度と非常に多く含まれています[3]。

なお、人でも、皮膚に存在するプロビタミンD(7-デヒドロコレステロール)が日光の紫外線によりプレビタミンDとなり、体温による熱異性化によりビタミンDが生成します。
5.5 μgのビタミンDを作るのに必要な日射量は、顔面と手の甲の面積の皮膚で、つくばあたりの緯度で夏の正午であれば3.5分程度で、札幌あたりの緯度で冬の正午であれば76分程度で合成可能という報告があります[2]。
緯度と季節でずいぶんビタミンDの合成量は異なるので、食事による供給は大切です。

魚類が苦手な人にはビタミンDサプリメントがお薦めです。

引用文献

[1] Mahamid M, Abu-Elhija O et al. Association Between Vitamin D Levels and Alopecia Areata. Israel Medical Association Journal. 2014; 16: 367-70.

参考文献

[2] 厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)
[3] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-02-14)

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