3月7日は魚の日!魚介に含まれる栄養や食事のポイントを解説

3月7日は魚の日です。
さかなジャパンプロジェクト推進協議会が制定し、3(さ)か7(な)が由来となっています。

魚が体にいいイメージはある一方で、日本での魚介類の消費量は減少傾向。
魚介類の1人1年あたり消費量は2001年度の40.2kgをピークに、2017年度には約4割減少した24.4kgとなりました。

魚の栄養は健康にも、ダイエットにも、スポーツなどにもおすすめで、老若男女問わず摂ってほしいものです。
この記事では魚介の栄養面での魅力と、魚介を日々の食事に取り入れるためのポイントを紹介します。

魚はダイエットにも、生活習慣病予防にも効果的

良質なたんぱく源なのに低カロリー、低脂質

魚に含まれるたんぱく質は必須アミノ酸をバランスくよく含んでいるため、良質なたんぱく質だといえます。
肉類のたんぱく質も良質ですが、魚はそれに加えて低カロリー、低脂質であることが魅力。

例えば、100gあたりの鮭のエネルギーは265kcal、脂質は6.6gであるのに対し、100gあたりの牛肉(肩ロース)のエネルギーは411kcal、脂質は37.4gです。
牛肉の代わりに同じ量の鮭を食べた場合、カロリーは約半分、脂質は1/5に抑えられることになります。
なお、カロリーや脂肪の量は魚や肉の種類や部位によります。

EPAやDHAなどの脂肪酸が豊富

魚の脂質に含まれる脂肪酸はEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富です。
EPAはIPA(イコサペンタエン酸)とも呼ばれ、抗炎症作用や高血圧予防などの効果が期待されています。
DHAは認知症予防や視力低下予防、抗ガン作用が期待されています。
いずれも血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らし善玉(HDL)コレステロールを上昇させる作用があります。
そのため、EPAやDHAは動脈硬化や心筋梗塞などといった循環器疾患の予防に有効であるという研究が多数存在しています。
EPAやDHAをはじめとしたn-3系脂肪酸が特に豊富な魚は表のとおりです。

ビタミンやミネラルも豊富

魚介類にはビタミンD、E、B12といったビタミン類やカリウム、カルシウムなどのミネラルが豊富です。
ビタミンDやカルシウムは骨の健康に役立ち、ビタミンEは抗酸化作用をもちます。
ビタミンB12は赤血球の形成や神経細胞の維持に働き、カリウムは塩分排泄に役立ちます。
魚介の種類によって栄養成分は異なりますので、魚の種類ごとに多い栄養素を次に紹介します。

魚介の種類によっても栄養に特徴がある

骨ごと食べられる魚介は骨の健康に役立つ

魚の肉自体にもカルシウムは含まれていますが、骨には特にカルシウムが豊富。
ししゃもやしらす、さくらえびなど、骨ごと食べられる魚介はカルシウムが豊富です。

通常骨ごと食べることのない魚でも骨を食べるようにするとカルシウム摂取を増やすことができます。
また骨は固く噛む回数が増えるため、肥満や虫歯、歯周病の予防に役立ちます。無理なく良く噛んで食べましょう。

大きな魚の骨は圧力鍋で煮魚にしたり、揚げ物にしたりすることで柔らかくなります。
例えば、うなぎが名産の浜松市(静岡県)ではうなぎの骨を揚げたものがおせんべいとして売られています。

血合いのある魚は貧血や味覚障害の防止に役立つ

血合いはかつおやぶりの身に存在する赤黒い部分です。
海を高速で移動する魚に血合いが存在し、まぐろやさばなども血合いを持っています。
血合いには鉄と亜鉛が豊富。
鉄は貧血の予防に役立つ栄養素です。

さらに、魚に含まれる鉄は「ヘム鉄」に分類され、野菜や果物に含まれる鉄よりも体内への吸収が良いとされています。
亜鉛は味覚障害の予防に役立ちます。
血合いは生臭いため敬遠する方が多いかもしれませんが、揚げることで臭みを抑えられます。

ピンクの魚介はアンチエイジングや目の疲労防止に役立つ

鮭や真鯛、桜えびといったピンク色の魚介にはアスタキサンチンが含まれています。
アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、強い抗酸化力があります。
細胞の老化を抑え、眼精疲労や老眼といった目のトラブルの抑制効果もあるといわれています。
さらに動脈硬化を防ぐ作用もあると考えられています。

魚介を生活に取り入れよう

手軽な切り身、干物から

健康にはいいと分かっていても、下処理が面倒などといった理由で、魚介を取り入れるハードルは高いイメージがあるかもしれません。
そんな方はまずは下処理不要な切り身や干物から始めてみてはいかがでしょうか。
そのまま焼くだけなら肉の調理よりも簡単になることもあります。
既に調理されている缶詰も手間がかからず便利です。

そうはいってもやはり、調理の直前におろす方が鮮度の良い状態で魚を楽しめます。
スーパーや魚屋さんでも下処理してもらえることが多いのでそちらを活用したり、意外と自分でやってみてもそれほど難しくなくできるかもしれません。

「塩」で保存、「迎え塩」で減塩

魚を取り入れづらく感じる理由の1つに日持ちしにくいこともあるかもしれません。

生魚に塩をふれば冷蔵庫で3~4日もちます。
塩をかけて20分以上おき、水分をキッチンペーパーなどで拭き取れば冷蔵準備完了です。

また、多くの魚が家庭での冷凍も可能。
冷凍する場合はアミノ酸の変化を少なくするため、下処理を終えた状態で冷凍しましょう。

塩分の摂りすぎが心配なら「迎え塩」がおすすめです。
1~1.5%の薄い塩水に漬けておくと水っぽくならずに魚の塩分を減らせます。
塩辛すぎる塩鮭などにも使えます。

魚と一緒にバランスアップ

魚は栄養豊富ですが、食物繊維やビタミンCはあまり多くありません。
野菜を使用したおかずもあると良いでしょう。

刺身にはつま、焼き魚には大根おろしやかんきつ類といった定番の付け合わせは栄養バランスアップにも適しています。
刺身のつまとして使われるトサカノリやオゴノリは低カロリーで食物繊維が豊富です。
焼き魚の大根おろしは消化を助け、かんきつ類はカルシウムの吸収を上げたりEPAやDHAの酸化を防いでくれたりします。

知っておくと便利!魚に関する豆知識

魚の旬

旬の魚は安価で栄養も高い場合が。
一年中出回っている魚も多く、旬があまり知られていない魚もあるかもしれません。
よく食べられる魚の旬を一覧にしました。

おいしい魚の選び方

せっかくだからおいしい魚を選びたいものです。
まるごと1尾選ぶ場合は、色つやと張りがあるのが鮮度が良いでしょう。
ほかにも液体が出ておらず、えらが赤いのも鮮度の良い魚の特徴です。

切り身を選ぶ場合は、皮に張りがあり、ドリップ(水分)がなく、切り口の角が丸くなっていないものの鮮度が良いといわれています。

「新鮮・獲れたて=おいしい」とは限らない

朝獲れ、産地直送などといった新鮮、獲れたての魚はいかにもおいしそうな感じがします。
でも、実は締めてから一定時間をおいた方がおいしい魚も存在することをご存知でしょうか。

タイやヒラメといった白身魚や、マグロのような大型の魚は、時間をおくことでうまみが増すといわれています。
魚を締めてから時間がたつと身は自己消化され、イノシン酸に分解されます。
イノシン酸はかつお節のうまみ成分で知られる成分で、イノシン酸の量が最も存在するときが魚のうまみを最も感じられるタイミングとなります。
このタイミングは魚の種類によって異なりますが、マグロなどの大型魚はイノシン酸の量が最大になるまで2週間程度かかるといわれています。
一方、アジやイワシなどの青魚は自己消化の進行が早いため、新鮮なものの方が良いとされています。

まとめ

魚介は良質なたんぱく源でありながら低カロリー、低脂質、ビタミン・ミネラル類豊富で健康的な生活にぜひ摂り入れたい食材です。
さらに、血液サラサラ効果のあるEPA、DHAも豊富。魚の種類によって栄養の特徴は異なり、骨ごと食べられる魚はカルシウムが豊富。
赤黒い血合いを含む魚は鉄分や亜鉛が豊富で貧血や味覚障害の予防に役立ちます。
鮭や真鯛といったピンク色の魚介は強い抗酸化作用をもつアスタキサンチンが細胞老化や目のトラブル、動脈硬化を防ぎます。
魚を食べる生活はなかなかハードルが高いイメージがありますが、切り身や干物といったそのまま使える魚を選ぶのがおすすめです。

また、塩をふれば保存も効くように。
保存した魚を1~1.5%の薄い塩水で漬けておく「迎え塩」をすることでうまみを残したまま、余分な塩分をとることができます。

魚は野菜と一緒に摂ることで栄養バランスがさらによくなります。
刺し身のつまも低カロリーで食物繊維が豊富ですのでぜひ残さず食べてみてください。

参考文献

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下坂智惠(2001)「魚骨の調理による軟化」日本調理学会誌
田中明、蒲池桂子(2016)「あたらしい栄養事典」日本文芸社
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社
成瀬宇平(2006)「免疫力を高め、がんを予防するさかなパワー」健学社
深川敦子(1994)「オゴノリによる食中毒」食品衛生学雑誌
藤原昌高(2016)「からだにおいしい魚の便利帳」高橋書店

著者 / 監修者