栄養たっぷりのしいたけ、カリウムを豊富に含みます
和食で大活躍のしいたけ(椎茸)。
煮物にお吸いもの、炒めものにも使えて、日本人の食卓には欠かすことが出来ない食材の一つですよね。
特に乾燥しいたけは、常温でも日持ちするため、手軽に使えてとても便利です。
しいたけはミネラル豊富な食材で、特にカリウムは乾燥しいたけ10 gあたり(しいたけ2個分ぐらい)に210 mg含まれると言われています。(表1)
日頃の料理にプラスするだけで、手軽に栄養補給できそうです。
表1:乾燥しいたけの栄養価と食事摂取基準の比較
戻し方による栄養の違い、実験してみた
乾燥しいたけを料理する際に必要になるのが「乾燥しいたけを水で戻す」という作業。
単純な作業ですが、かける時間の違いでいくつか方法があるようです。
そこで、代表的なしいたけの戻し方で栄養価を比較してみました。
なお、しいたけは、「どんこ」や「こうしん」という種類に分かれるそうですが、今回はより傘が肉厚などんこを用いて実験しました。
材料と基本の手順
〈材料〉
・乾燥しいたけ(どんこ) 1個(5 g程度)
・水(水道水、常温) しいたけに対して15倍量(75 mL程度)
〈基本の手順〉
しいたけは軽くほこりを払い水洗いしておきます。
しいたけは写真の向きに浸し、かさの上部にも水がいくようにラップをかけます。
途中、軸がやわらかくなってきたら石づきを落とします。
軸の根元がやわらかくなってきたら完成です。
1. 冷蔵庫で戻す方法
※調理時間:13時間
冷蔵庫に入れ一晩かけて戻す方法です。
〈作り方〉
(1)ボウルに乾燥しいたけと水を入れ、ラップをかける。
(2)13時間、冷蔵庫に入れておく。
2. 室温で戻す方法
※調理時間:2時間
室温で置いておくだけ、最も簡単な方法です。
〈作り方〉
(1)ボウルに乾燥しいたけと水を入れ、ラップをかける。
(2)2時間、室温に置いておく。
3. 電子レンジで加温する方法
※調理時間:40分
「前もって戻しておくの忘れてた!」というときの戻し方です。
時間をかけずに戻すことができます。
〈作り方〉
(1)ボウルに乾燥しいたけと水を入れ、ラップをかける。
(2)電子レンジで加熱する(500W、30秒間)。
(3)電子レンジから取り出し、40分程度室温に置いておく。
実験結果:室温でもどすのが最適かも?まだまだ検討の余地あり
表2:戻し方による乾燥しいたけの栄養価の比較
戻し方の異なるしいたけ3種の栄養価を表に示しています。
この結果によると、室温での水戻しが最も栄養価が高くなりました。(カリウム量、しいたけ5 gあたり54 mg)
なお、しいたけは物によって重量にばらつきがあったので(4.8~7.3 g)、乾物しいたけ5 gあたりに換算した数値で比較しています。
栄養は戻し汁に流れ出てしまったのか?
しいたけは戻し汁も料理に使うことが多いですよね。
「戻した後のしいたけの栄養価の違いは、そのまま戻し汁に反映されているのかも」ということで、戻し汁の栄養価も調べてみました。(表3)
表3:戻し方による戻し汁の栄養価の比較
「しいたけから流れ出たミネラル分が戻し汁に出ていれば、室温戻しが低い数値になるはず」と考えていたのですが、こちらも室温で戻したものが栄養価が高い結果となりました。
しいたけの個体差が原因?戻し汁の矛盾
理由として「しいたけの個体差」が考えられます。
今回の実験は、それぞれしいたけ1個ずつの調理で比較しているため、栄養価の差がしいたけの個体差によるものである可能性も否定できません。
今後も検討の余地がありそうです。
カリウム豊富なしいたけ、戻し汁と一緒に活用するのが吉
乾燥しいたけを戻すときにはどの方法を使っても栄養価に大きな差はないのかもしれません。
どの方法で戻すにしても、多少なりともミネラル分を失ってしまいます。
可能な限り戻し汁も一緒に調理して、無駄なく栄養を摂りたいものですね。
参考文献
文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-03-02)
厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)