栄養たっぷりの小松菜、ほうれん草と違って生でも食べられます
小松菜(こまつな)は、アブラナ科の野菜で、冬に旬を迎える代表的な野菜です。
旬は冬ですが、スーパーなどでは1年中手に取ることができます。
小松菜はカリウムやカルシウム、鉄分を豊富に含み、100 gあたりのミネラル含有量は表の通りと言われています。(表1)
表1:小松菜100 gあたりのミネラル含有量と食事摂取基準との比較
ほうれん草と同じように料理に使われることも多い小松菜ですが、味や食感、栄養価などがほうれん草とは異なります。
なかでも栄養価に着目すると、カリウムやマグネシウムの含有量はほうれん草に劣りますが、一方でカルシウムや鉄は豊富に含むと言われています。
また、小松菜はほうれん草と違ってアク(シュウ酸)が少ないため、生で食べることができると言われています。
加熱すると栄養はなくなる?主要な調理法を比較してみた
生でも食べられる小松菜。
とは言え、ゆでておひたしにしたり、他の食材と炒めたり、加熱調理によって食卓の幅は広がりますよね。
そこで、加熱によってどのくらい栄養価が変わるのか、実験してみました。
1. 生
生で食べる場合の作業工程。
〈材料〉
・小松菜 3株
〈作り方〉
(1)根を切り落とし、根元に切り込みを入れる。
(2)貯めた水(分量外)で根元を洗う。
(3)水を替え(分量外)、葉の部分も洗う。
2. ゆでる①(株のままゆでる)
ゆでる調理は、株のままゆでる場合と先に切ってからゆでる場合をそれぞれ行いました。
〈材料〉
・小松菜 3株
・お湯 1 L
〈作り方〉
*1.の手順で小松菜を洗う。
(1)フライパンにお湯を沸かし、沸騰したら小松菜の茎部分をゆでる。(30秒)
(2)葉の部分を浸し、ゆでる。(30秒)
(3)お湯から取り出し、冷水で冷やす。
(4)絞って水気を切り、4~5 cm幅に切る。
3. ゆでる②(切ってゆでる)
〈材料〉
・小松菜 3株
・お湯 1 L
〈作り方〉
*1.の手順で根元に切り込みを入れておく。
(1)4~5 cm幅に切り水(分量外)で洗う。手早く洗い、水を切っておく。
(2)フライパンにお湯を沸かし、沸騰したら小松菜の茎部分をゆでる。(30秒)
(3)葉の部分をゆでる。(30秒)
(4)お湯から取り出し、冷水で冷やす。
(5)絞って水気を切る。
4. 電子レンジ
〈材料〉
・小松菜 3株
〈作り方〉
*1.の手順で小松菜を洗う。
(1)小松菜をラップで包み、電子レンジで加熱する。(500W、1分)
(2)ラップから取り出し、冷水で冷やす。 ※熱いので注意!
(3)絞って水気を切り、4~5 cm幅に切る。
5. 炒める
〈材料〉
・小松菜 3株
・サラダ油 大さじ1(調理してみた結果、小さじ1程度で十分だと感じました)
〈作り方〉
*1.の手順で小松菜を洗う。
(1)4~5 cm幅に切る。
(2)フライパンを熱し、サラダ油をひき、小松菜の茎部分をフライパンに入れ、炒める。(1分)
(3)小松菜の葉部分を加え、炒める。(30秒)
実験結果:適度な加熱調理では影響なし、ゆでるときは切らずに株のままゆでるべし
それぞれ小松菜60 gあたり(2株程度)に換算した調理後の栄養価を表に示しています。
表2:加熱調理による小松菜の栄養価の比較
豊富に含まれる、カリウム、カルシウム、鉄に着目すると、ゆで②(切ってゆでる)が最も栄養価が低い結果でした。
生のものが調理前と同等であると考えると、切った後にゆでたことによってミネラル分の損失は大きかったと言えるでしょう。
ただし、今回の実験では、”2.切ってゆでる”は小松菜を洗う工程も切った後に行っています。
このことより、切った後に洗う、もしくは切った後にゆでると、20~30%程度の栄養が流れ出てしまうと言えそうです。
一方で、ゆで①(株のままゆでる)、電子レンジ、炒め調理は比較的栄養の損失が小さいという結果が見られました。
ただし、カルシウムにおいては、ゆで①(株のままゆでる)でも多少の減少が見られました。
これらの結果から、小松菜の栄養(ミネラル分)を無駄なく摂るには、生でもよし、ゆでてもよし、電子レンジ調理でも炒めてもよし、と言えそうです。
ただし、ゆでる場合は切らずにゆでたほうがよいでしょう。(スープに入れるのであれば、流れ出たミネラルも摂ることができるのであまり問題ないでしょう。)
なお、切り口から栄養が流出する可能性があるため、水洗いは切る前に行うのがよいのかもしれません。
元々の小松菜そのものの栄養価の個体差である可能性も考えられるため、一概に数値を比較すればよいとは限りませんが、この結果を参考に調理法を選んでみてはいかがでしょうか。
参考文献
文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-03-02)
厚生労働省(2019)「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」, <https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>(参照2020-02-14)