カロテンの摂取が乳がんリスクに関連する?

血中カロテン濃度と乳がん発症リスクに関する報告

オランダのユリウス健康科学・プライマリ・ケアセンターなど10ヶ国23機関による共同研究によって、カロテンと乳がんリスクの関連が報告されています[1]。

~以下引用~
この研究は、血漿カロテノイド、レチノール、トコフェロール、およびビタミンC濃度と乳がんのリスクとの関連を評価するために、症例対照研究を行ったものである。
10ヶ国、23のセンターから集められた521,468人の中に、1502人の女性の乳がんの偶発的症例、そのうち、閉経前女性の症例が582件、エストロゲン受容体陰性(ER-)症例が462件であった。
α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、レチノール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、およびビタミンCの各摂取量を五分位の層別分析した結果、α-カロテンおよびβ-カロテンの血漿濃度とER-乳がんのリスクに負の相関が見られた。
~引用終わり~ 

この報告によると、β-カロテンなどの血中濃度を高めておくと乳がんのリスクを低減することができると言えるかもしれません。
このようなの報告は、1980年代から多くあり、β-カロテンが多く含まれる緑黄色野菜の積極的な摂取はがんの発生予防につながります。
β-カロテンには抗酸化力がありますが、ビタミンA活性を有する代表的な化合物であるレチノールには抗酸化作用はないので、注意してください。 

カロテンはビタミンAの前駆体でもある

カロテンはビタミンA活性(夜盲症を予防する力価)を持つカロテノイドの一種で、主にα-カロテン、β-カロテンの2つが存在します。
体内に吸収されると、ビタミンAに変換されて使われますが、変換されずに体内に蓄積されます。
カロテノイドの作用としては、抗酸化作用、免疫賦活作用などが想定されています。
ビタミンA活性は、重量比でα-カロテンはレチノールの1/24、β-カロテンは1/12です。
カロテンからビタミンAの変換は厳密に制御されているため、カロテンの過剰摂取でビタミンA過剰症になることはありません。 

カロテンは野菜や果物に豊富、油料理で吸収効率アップ

カロテンは緑黄色野菜や果物に多く含まれます。
にんじんにはα-カロテン3,300 µg、β-カロテン6,900 µg、ほうれん草にはβ-カロテン5,400 µgが含まれています(100 g食品中)[2]。
脂溶性の物質であるため、油料理をすると吸収されやすいです。 

おわりに

カロテンの摂取によって乳がんのリスクを下げることができるかもしれません。
一方、サプリメントとしてのβ-カロテンの大量摂取は、がん(特に肺がん)の予防に対して無効であるか、あるいは有害になる場合もあると考えられています[3,4]。
現在、β-カロテンの欠乏症が知られていないので、必要量は不明です。 

引用文献

[1] Marije F Bakker, Petra HM Peeters et al. Plasma carotenoids, vitamin C, tocopherols, and retinol and the risk of breast cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition cohort. The American Journal of Clinical Nutrition. 2016; 103(2):454-64. 

参考文献

[2] 文部科学省(2019)「食品成分データベース」, <https://fooddb.mext.go.jp/>(参照2020-06-01)
[3] Kavanaugh CJ, Trumbo PR, Ellwood KC. The U.S. Food and Drug Administration's evidence-based review for qualified health claims: tomatoes, lycopene, and cancer. J Natl Cancer Inst. 2007; 99(14):1074-85.
[4] Van Patten CL, de Boer JG, Tomlinson Guns ES. Diet and Dietary Supplement Intervention Trials for the Prevention of Prostate Cancer Recurrence: A Review of the Randomized Controlled Trial Evidence. J Urol. 2008; 180(6):2314-21.

著者 / 監修者