「健康的な食生活」「バランスのとれた食事」…体に良いのは分かるけど、実際どうしたらそんな食事ができるのか分からないという人は結構多いのではないでしょうか。
実は国よって作られた「食事バランスガイド」というものが存在するのをご存知ですか。
今回は、食事バランスガイドの使い方や活用法を紹介していきます。
食事バランスガイドで「なにを」「どれだけ」食べたらよいかがわかる!
食事バランスガイドとは
厚生労働省と農林水産省が共同して作成した、1日の食事の適量が一目で分かるガイドです。
日本で古くから親しまれる「コマ」をイメージして描かれています。
コマは上から主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物でできています。
そして、コマの軸が水・お茶といった水分をさし、運動によって回転しています。
このイラストによって食事のバランスが悪くなるとコマは倒れること、水分は食事の中で欠かせない存在であること、そして運動によって初めてコマが安定するということを示しています。
食材は5分類
食事バランスガイドでは毎日の食事を主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つに区分しています。
主食はエネルギーのもととなるごはん、パン、麺などを主材料とする料理が含まれます。
副菜はビタミン、ミネラル、食物繊維を含む野菜、いも、豆類(大豆以外)、きのこ、海藻などを主材料とする料理が含まれます。
主菜はたんぱく質を含む、肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを主材料とする料理が含まれます。
牛乳、乳製品にはカルシウムが含まれます。
ヨーグルトやチーズがこの中に入ります。
果物は主にビタミンC、カリウムなどの供給源になります。
100%フルーツジュースも果物に分類されます。
単位は「つ(SV)」
今度は何を目安にそのコマのバランスを取るの?ということになる訳ですが、単位は1つ2つ・・・と数える時に使う単位である「つ(SV=サービング)」を使用します。
食事バランスガイド右側の料理例には一般的な大人の食べる量がいくつに相当するのかという例が書かれています。
例えばごはん小盛り1杯は1つ分、ハンバーグは3つ分と数えます。
主食は炭水化物約40g、主菜はたんぱく質約6gなど、1つ(SV)に対応する基準は料理区分によって異なります。
グラムだと都度測らないと分からないので料理ごとにカウントできるのは分かりやすいですね。
なにをどれだけとれば健康になれる?
食事の量は性別や年齢、身体活動量によって異なります。
上のチェックチャートを確認し、それぞれいくつ摂るのか確認してみてください。
例えば2,200±200kcalが適量となるのは、成人だと身体活動量が低い男性と身体活動量がふつう以上の女性が当てはまります。
主食5~7つ、副菜5~6つ、主菜3~5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つとなります。
コマの内側のイラストは2,200±200kcalを摂取する場合の1日の食事例が書かれています。
主食は1食あたり1~2つ、副菜は1食あたり2つ、主菜は1~3つ程度となるよう1回の主食、副菜、主菜を摂る量を分散させましょう。
食事バランスガイドを活用しよう
自分の食事を記録してみよう
適量がわかったら、今度は1日の食事がちゃんとコマの形になるか確かめてみましょう。
朝、昼、夜、間食と分け、食べたものを書き出し、料理グループごとに「つ(SV)」を数えましょう。
表を参考にチェックシートがあるので、ぜひ活用してみてください。<https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji9.pdf>
色んな食材、調理法を取り入れよう
それぞれの食材のもつ栄養組成は同じ分類にあっても異なります。
野菜摂取は1日350g以上、うち120g程度は緑黄色野菜から摂ることが望ましく、たんぱく質の摂取は動物性が40~45%、植物性が50~55%程度を推奨されています。
色の濃い野菜、色の薄い野菜、肉、魚、豆腐、卵を1日に全種類摂り入れた献立だと良いかもしれません。
健康は様々な栄養の相互作用によって得られるもの。
3食同じ食材というよりは別の素材を選んでみるのがおすすめです。
調理方法について、料理例を見ても分かるように、点数が同じで揚げ物、煮物、炒め物、生のものなど様々。
「つ(SV)」が基準に到達しても全部揚げ物にしてしまうと脂質の摂りすぎ、カロリーオーバーにつながります。
お昼にとんかつを食べたら夜は焼き魚、など調理法も色々摂り入れましょう。
メタボ気味の人は特に煮物や蒸し物中心の方が良いといえます。
塩分も考えられたらさらにGOOD
日本人は塩分を摂りすぎる傾向にあります。
「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、一日あたりの食塩摂取目標量は成人男性8g未満、女性が7g未満です。
けれども、日本人の平均摂取量は約10g。
日本食は健康に良いとされる一方で、醬油、味噌など塩分製品が多めなのが難点。
料理をする人は薄めの味付けを心がけてみましょう。
酸味や辛味といった別の味を加えると、物足りなさを解消できそうです。
時間があるときは出汁をとるのもおすすめです。
風味がぐっと増し、塩分の使用を抑えられます。
外食が多めの人は塩分の表記を確認したり、ラーメンなどのスープを飲まないようにしたりするなど工夫してみましょう。
コマを回し続けるために
いつも完璧じゃなくても大丈夫
食事のバランスが悪いと、コマは倒れてしまいます。
ですが、付き合いなどもある中で毎日コマの形を完璧にするのは大変。
まずは1週間、3~4日といった一定期間を目安に、食生活のバランスをチェックしてみましょう。
1食、1日あたりのバランスが悪いからといって心配する必要はありません。
お菓子やお酒は楽しく適度に
イラストの左ななめ下の「菓子・嗜好飲料」にはお気付きでしょうか。
これはコマを回すためのヒモです。
食事バランスガイドではお菓子やお酒を食生活の「楽しみ」として適度にとると良いとされています。
「健康的な生活」というとお酒やジュースなどの嗜好飲料やお菓子をやめないといけないと思ってしまいがちですが、食生活のアクセントとして楽しんでOK。
目安は1日200kcal程度です。表を参考にしてみてください。
スナック菓子やチョコレートの代わりに果物やヨーグルトを摂るのもおすすめです。
運動もお忘れなく
最初に「運動によって初めてコマが安定する」ということを紹介しました。
早歩きをしてみる、階段を使うなどでもいいので日常生活での運動量を増やしていきましょう。
早歩きは歩幅を大きく、姿勢よく歩くと効果的です。
朝晩の気温が下がってきたので、時間があるときには一駅歩くのも良いですね。
いつもと違う景色が気分をリフレッシュさせてくれそうです。
まとめ
食事バランスガイドは国によって作られた一目でバランスの良い食事が分かるイラストガイドです。
自分の適量を調べ、コマの形になるようメニューを考えてみましょう。
栄養は、色々と組み合わさることでその力を発揮しますので、様々な食材を活用するのがおすすめです。
また、調理法も変えてみましょう。
減塩も意識できたらなお良いです。
忙しい中毎日コマの形を保つのはなかなか大変ですが、1週間などの一定期間を目安にバランスをチェックしてみましょう。
コマは他に水分と運動で初めて安定します。
食事のときには砂糖の入らないお茶や水をとり、階段を使うなど体を動かす量を意識的に増やしていきましょう。
参考文献
農林水産省「実践食育ナビ」<http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/yun/index.html>(参照2019.09.26)
農林水産省「『食事バランスガイド』について」<http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/>(参照2019.09.26)
農林水産省「食生活指針について」<http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/shishinn.html>(参照2019.09.26)
関口紀子、蕨迫栄美子「栄養教育論-栄養の指導-」(2018)学建書院