【2020年版】炭水化物やたんぱく質の代謝を助ける、ビタミンB1の基本を知る。

ビタミンB群の1つで化学名はチアミン。
糖の代謝や分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝に関与しています。
炭水化物やたんぱく質と関係が深く、トレーニングを実施している人には特に欠かせない栄養素です。
神経機能を正常に保つため重要な役割も果たしており、精神状態にも影響するため「精神的ビタミン」とも言われています。

ビタミンB1の機能

糖質、たんぱく質の代謝をサポートする

糖質やたんぱく質(分岐鎖アミノ酸, BCAA)が代謝される時に不可欠な補酵素です。
その代謝の過程で作られる乳酸といった疲労物質の処理にも関わります。
そのため、ビタミンB1はエネルギー産生を支えたり、疲労回復したりする効果があるといえます。

脳や神経を正常に働かせる

基本的に脳は糖質からしかエネルギーを得ることができません。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素です。
つまり、ビタミンB1は脳の働きを正常に保つ働きも担います。
神経は脳によってコントロールされますので、神経の正常維持にもつながります。
これが、精神状態の改善や車酔い予防などの効果に繋がるとされています。


ビタミンB1の消化、吸収、代謝

食べ物として調理されたビタミンB1はチアミンジリン酸という形で存在しています。
消化管内でチアミンに変換された後、小腸で吸収されて活性型になります。


ビタミンB1の摂取量

成人の男女で0.9〜1.4mg/日摂取が推奨されています。
ビタミンB1は水溶性の栄養素で、必要以上に摂取しても排泄されやすいため、上限量の設定はありません。


過不足のリスク

過剰症の心配はない

通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
直接的にチアミン塩酸塩を慢性的に摂取した場合は頭痛、いらだち、不眠、側脈、脆弱化、接触皮膚炎、かゆみなどの症状が現れます。

不足すると疲れやすくなったり神経に異常が起きたりする

ビタミンB1が不足すると、エネルギー源となる糖質を摂取してもエネルギーに変換することができません。
エネルギー不足に陥るのみならず、乳酸などの疲労物質が蓄積されて疲れやすくなります。
なお、エネルギーに変換されなかった糖質は排泄されずに脂肪として蓄積されるため、太る場合があります。
慢性的なビタミンB1不足は神経に悪影響を及ぼします。
末梢神経に異常が起きると脚気(多発性神経炎)になります。
はじめは食欲不振や疲労感が起き、進行すると手足のしびれやむくみなどが起き、さらに悪化すると心不全が起きます。
中枢神経に異常が起きるとウェルニッケ脳症になります。
意識障害などが起き、悪化すると昏睡状態になります。
ウェルニッケ脳症はアルコール摂取が多い人に起こりやすいと考えられています。

ビタミンB1が多く含まれる食品10品目

豚肉、精製されていない穀物、豆、種実類に多く含まれています。
糠に豊富に含まれているため、糠漬けでも摂取することができます。
加熱調理により壊れやすい栄養素ですが、にんにくや玉ねぎ、にらなどの臭いの成分であるアリシンと一緒に摂取すると吸収効率が上がります。
ビタミンB1は水溶性のビタミンですので、煮汁やゆで汁に流れやすいです。
煮汁も一緒に摂取すると損失を抑えられます。

なお、カフェインやアルコールの代謝にビタミンB1が使用されるため、ビタミンB1の必要量が増加します。
また、生の貝類や甲殻類、淡水魚などにはアノイリナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれています。この酵素の活性は、加熱するとなくせます。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
下村吉治(2017)「BCAA代謝を調節するビタミンB1とB6」ビタミン学会誌
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社
森田潤司、成田宏史(2016)「食品学総論(第3版)」化学同人

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