【2020年版】アルコールの分解にも働く、ナイアシンの基本を知る。

ニコチン酸とニコチンアミドの総称をナイアシンといいます。
アミノ酸の一種であるトリプトファンもナイアシンの活性をもちます。
ビタミンB群の1つで、発見された当初はビタミンB3と呼ばれていました。
炭水化物、脂質、たんぱく質の3大栄養素の代謝に関与するビタミンで、アルコールを分解する働きも持っています。

ナイアシンの機能

糖質、脂質、たんぱく質の代謝を調節する

糖質、脂質、たんぱく質がエネルギーに変わるとき、ナイアシンは補酵素として働きます。
こうした栄養素の代謝を通じてコレステロール・中性脂肪を減らしたり、脂肪の代謝を助けたりしてくれます。

アルコールの分解を助ける

アルコールは体内で悪酔いや二日酔いを引き起こす原因となるアセトアルデヒドになります。
ナイアシンはそんなアセトアルデヒドを無毒化する酵素の働きをサポートします。

肌の健康維持や神経系の働きをサポートする

ナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持や神経系の働きもサポートしてくれます。
そのため、口内炎や皮膚炎、めまいの治療にも使用されています。
偏頭痛の予防にも効果があると考えられています。


ナイアシンの消化・吸収・代謝

小腸で吸収され、利用率は60%程度

ナイアシンは動物性の食品ではニコチンアミド、植物性の食品ではニコチン酸として存在します。
いずれも「ニコチン」がついていますが、たばこに含まれる有害物質のニコチンと化学構造が似ているだけでその働きは完全に異なります。
ニコチンアミドとニコチン酸は消化管内でニコチンアミドへと分解された後、小腸で吸収されます。
消化の過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる食品にも影響されます。
日本の平均的な食事での利用率は60%と考えられています。

ナイアシンの摂取量

食事摂取基準ではナイアシンの摂取基準がニコチン酸量として設定されています。
トリプトファンのナイアシンとしての活性が重量比で1/60と異なるため、単位はナイアシン当量(mgNE)と表します。
成人の男女で、10~15mgNE/日摂取が目安とされています。
栄養強化食品やサプリ由来のナイアシンに対して上限が定められています。

過不足のリスク

通常の食事摂取による過剰症の心配はない

通常の食事摂取では過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
薬からの大量投与により、消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。
皮膚が赤くなる場合もありますが、これは「ナイアシンフラッシュ」と呼ばれる一時的な症状で、健康を害するものではありません。

欠乏症は起こりにくいが、アルコールを大量に摂取する人は注意

ナイアシンの摂取が少なくても、たんぱく質を十分に摂っていればたんぱく質(トリプトファン)からナイアシンを合成できるので通常日本で欠乏症は起きにくいです。
ただ、アルコールの分解にナイアシンが利用されることからアルコール依存症の人に欠乏症が出ることがあり、皮膚炎、下痢、認知症などの精神神経症状を伴う「ペラグラ」を発症します。
また、小児の場合は成長障害が起こります。

ナイアシンが多く含まれる食品10品目

たらこ、かつお、まぐろなどの魚介類、レバーやささみ、ハムなど肉類にも含まれています。

高い安定性を誇る栄養素で加熱調理などでもほとんど効力を失いません。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社
Hoffer A, Saul AW, Foster HD(2015)”Niacin: The Real Story: Learn about the Wonderful Healing Properties of Niacin”

著者 / 監修者