プリン体の分解にも働く、モリブデンの基本を知る。

原子番号42のクロム族元素の一つです。
たんぱく質や鉄の代謝に関わる栄養素です。
成人の体内に約9.3mg含まれ、骨、皮膚、肝臓、腎臓に多く存在しています。


モリブデンの機能

酵素や補酵素としてプリン体の分解など様々な代謝に関わる

まだ分かっていないことの多い栄養素ですが、酵素や補酵素を構成して様々な働きをしていると考えられています。
不要なプリン体を尿酸へと分解して体外に排泄したり、鉄を利用しやすくして貧血を予防したり、糖質や脂質を代謝してエネルギーになるのを助けたりする効果があると考えられています。

モリブデンの消化・吸収・代謝

胃と小腸で吸収され、吸収率は93%程度

食事から摂取されたモリブデンは胃と小腸から吸収され、赤血球やマクログロブリンという血症たんぱく質と結合して血中を流れて各組織に供給されます。
吸収率は93%だと推定されます。余分なモリブデンは尿中に排泄されるため、体内のモリブデン量は一定に保たれています。

モリブデンの摂取量

成人の男女で、25~30μg/日摂取が推奨されています。
上限量が定められています。

過不足のリスク

通常の食事で過剰症の報告はない

過剰分は速やかに尿として排泄されるため、通常の食事で過剰症が起きた例はありません。
また他の金属と比較して毒性が低く、モリブデンの過剰による中毒の報告もほとんど見られません。
モリブデン中毒の研究は少ないですが、銅の吸収を阻害して銅の欠乏症である貧血が現れたり、痛風のような症状がでたりした例があります。

健康な人に欠乏症が出た例はない

これまでに健康な人に欠乏症が出た報告はありません。
長期間食事ができない人や遺伝的な問題により欠乏すると視野暗転、夜盲症、眼の水晶体異常や脳・精神障害、昏睡状態等の症状が現れます。


モリブデンが多く含まれる食品10品目

納豆、えだ豆、きな粉、落花生等の豆類、レバーに多く含まれています。
日本の通常の食生活だと、推奨量の10倍近く摂取できると考えられています。
健康な人の過剰症も報告されていないので、あまり意識して摂取する必要はないでしょう。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社

著者 / 監修者