酵素を作り、成長を助けてくれるマンガンの基本を知る

原子番号 25のマンガン族元素で、成人の体内に約12~20mg存在しています。
土壌に含まれ、土から栄養を吸収した植物性食品に広く存在するミネラルです。

マンガンの機能

酵素を構成する

アルギナーゼ、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)、ピルビン酸脱炭素酵素などを構成する成分です。
アルギナーゼは、たんぱく質を代謝することで生じる有毒のアンモニアを無毒化して尿素にする過程で働く酵素です。
MnSODは、細胞を傷つけ老化をもたらす活性酸素を消去してくれる、抗酸化作用のある酵素です。
ピルビン酸脱炭酸酵素は乳酸から炭水化物を合成する過程で働きます。

三大栄養素、骨の代謝に関わる

糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素が代謝される時の酵素反応に関わります。
骨の代謝にも関係しており、カルシウムやリンなどと一緒に骨を作ったり、血中にカルシウムを溶かしこんだりしています。

マンガンの消化・吸収・代謝

小腸で吸収され、吸収率は1~5%程度

食事で摂取されたマンガンは胃液に含まれる塩酸で溶けて小腸の上部で吸収されます。
吸収率は1~5%程度ですが、鉄が欠乏するとマンガンの吸収率は増加します。
マンガンは鉄と同じ機構で吸収されることから、鉄の栄養状態に影響されるためです。

マンガンの摂取量

成人の男女で、3.5〜4mg/日摂取が推奨量とされています。
アメリカ・カナダの食事摂取基準をもとに耐容上限量が定められており、推奨量の約3倍程度とされています。

過不足のリスク

通常の食事で過剰症の心配はない

通常の食事で過剰摂取になる可能性は極めて低いですが、ヴィーガンのような菜食のみの特殊な食事、サプリなどの健康食品の利用で過剰が生じ、血液に含まれるマンガンの濃度が上がったという事例があります。
疲労や倦怠感、不眠、精神障害、進行性認知症などの症状が現れます。
鉱山労働者のような粉じん由来のマンガン中毒症は存在し、急性だと肺炎、慢性だとパーキンソン病に似た中枢神経系に障害が起きます。
こうしたマンガン中毒症が食事で発生したという報告はありません。

通常の食事で欠乏症の報告はない

幅広く植物性の食品に含まれているため、通常の食生活では欠乏は起こりにくいと考えられています。
欠乏すると成長阻害や骨形成異常、血液凝固異常、生殖能力の欠如、脂質・糖質の代謝の異常などが症状して現れると考えられています。

マンガンが多く含まれる食品

野菜や大豆製品など植物性食品に多く含まれています。
バランスのよい食生活を心がけていれば不足の心配はありません。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
川上浩(2018)「ヒトの基礎生化学」アイ・ケイコーポレーション
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社

著者 / 監修者