カルシウムと一緒に骨や歯をつくる、マグネシウムの基本を知る。

原子番号12の金属元素で、骨や歯の形成、酵素反応やエネルギーの産生などに関わる栄養素です。
60~65%は骨に、27%が筋肉に、残りは他組織や細胞外液中に存在しており、骨が貯蔵庫の役割を果たしています。
カルシウムとともに貯蔵され、摂取バランスはマグネシウム:カルシウムで1:2が理想と言われています。


マグネシウムの機能

骨の形成を助ける

骨や歯にカルシウムが行き渡るように調節し、丈夫な骨の形成を助けています。

筋肉の収縮に働く

筋肉収縮の調整を行います。
筋肉の1つである心臓(心筋)が正常に拍動するのもマグネシウムの働きのおかげです。

血圧の低下に関わる

血圧の調節は細胞内のカルシウムやナトリウムの濃度調節によって行われます。
マグネシウムは動脈を弛緩させて血圧を下げる方向に働きます。

補酵素として体内の多くの酵素反応に関わる

補酵素として体内の多くの酵素反応に関与します。
これにより、糖質をエネルギーに変化させたり、たんぱく質を合成したり、脂肪を燃やしてエネルギーを生み出したりします。
他にも神経伝達を正常に保つのにも働き、うつ症状の緩和などに効果があるといわれています。


マグネシウムの消化・吸収・代謝

小腸で吸収され、吸収率は40~60%

胃液に含まれる塩酸で溶け、小腸で吸収されます。
摂取量が増えるにしたがって吸収率は低下していきます。
成人の平均的な食事での吸収率は約30~50%だと考えられています。
たんぱく質や糖質、ナトリウム、ビタミンDなどで吸収が促進されます。


マグネシウムの摂取量

成人の男女で、270~370mg/日摂取が推奨量とされています。
通常の食事による上限量は定められていませんが、サプリのような通常の食品以外からの耐用上限量が成人で350mg/日と設定されています。

過不足のリスク

通常の食事で過剰症の心配はない

余分なマグネシウムは汗や尿として排泄されるため、通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
サプリや健康食品などの過剰摂取では下痢の症状が報告されています。
便秘薬にもマグネシウム(酸化マグネシウム)が使用されていることがあり、長期の便秘薬内服によって高マグネシウム血症となり、血圧の低下や意識障害の発生が報告されています。

基本的に欠乏症の心配はないが、心臓の病気のリスクがある

通常の食生活が送れていれば基本的に不足することはありません。
慢性的に不足すると狭心症と心筋梗塞といった心臓の病気のリスクが高まります。
さらに悪化すると神経症状、抑うつ、不整脈などになると考えられています。


マグネシウムが多く含まれる食品10品目

ほとんどの食品に含まれていますが、特に海藻やごま、ナッツ類、精製されていない穀類、葉もの野菜類に多く含まれています。
ストレスが溜まっているときや、アルコール・カフェインを摂取した時に消費されるので必要量が増加します。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社
中尾 彰太、渡部 広明、松岡 哲也(2010)「酸化マグネシウム長期内服による重症高マグネシウム血症の3例」日本救急医学会雑誌

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