甲状腺ホルモンの主成分となる、ヨウ素の基本を知る

原子番号53のハロゲン元素の一です。
成人の体内に約15mg含まれており、そのうち70~80%は甲状腺に存在し、甲状腺ホルモンを構成します。
海藻類をよく食べる日本人は、世界でも稀に見る高ヨウ素摂取民族と言われています。


ヨウ素の機能

甲状腺ホルモンを構成し、代謝を高める

トリヨードサイロニン(T3)やサイロキシン(T4)といった甲状腺ホルモンを構成します。
甲状腺ホルモンは酸素の消費を高めて代謝を促進します。
また、骨の形成やたんぱく質の合成、交感神経の活発化、子どもの成長などに関与します。

ヨウ素の消化・吸収・代謝

胃と小腸で吸収され、ほぼ全量が吸収される

食品から摂取されたヨウ素は胃と小腸でほぼ吸収されます。
吸収率は高く、ほぼ全てが体内に吸収されます。
吸収後は甲状腺に運ばれ、甲状腺ホルモンの合成に用いられます。
摂取したほとんどのヨウ素は尿中へ排泄されます。


ヨウ素の摂取量

成人の男女で、130μg/日摂取が推奨量とされています。
推奨量の約23倍が耐容上限量として定められています。

過不足のリスク

通常の食事で過剰摂取の可能性は低いが、過剰摂取すると甲状腺に問題が起きる

通常の食事で過剰摂取になる可能性は低いです。
ヨウ素が過剰になると甲状腺が正常に作れなくなり、過剰症として喉の部分が腫れる甲状腺肥大や甲状腺浮腫などが症状として現れます。

日本人は欠乏しにくいが、過剰症と同じような症状が現れる

通常の日本的な食生活で欠乏は起こりにくいと考えられています。
欠乏すると甲状腺ホルモンが正常に作られず、過剰症と同様に甲状腺肥大や甲状腺浮腫などの欠乏症を引き起こします。
成長期に不足すると知的障害や成長発達異常が起きます。
極端なヨウ素とセレンの不足が続くとクレチン病(先天性甲状腺機能低下症)が症状として現れます。
知能の発達が遅れ、低身長になります。

ヨウ素が多く含まれる食品

ヨウ素は海水中に多く存在するため、海藻類が魚介類に豊富です。
魚や海苔、昆布など、伝統的な日本の海産物を食べていれば不足することはありません。
世界的には不足しやすい栄養素であるため、海外製の塩にはヨウ素が添加されている場合があります。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
岩堀修明(2016)「解剖生理学テキスト」文光堂
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社
田中明、宮坂京子、藤岡吉夫(2015)「栄養科学イラストレイテッド臨床医学 疾病の成り立ち改訂第2版」羊土社

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