【徹底解説】怖い高血圧!栄養バランスや生活習慣の見直しで予防を

家族に高血圧の人がいる、最近血圧が上がってきたなどの理由から、血圧を気にしている人も多いのではないでしょうか。

高血圧はそれ自体に特に自覚症状はないものの、放置しておくと深刻な合併症を引き起こします。
そのため、気づいた時点で早めに対処することが大切です。
また、特に妊娠中の女性が高血圧を発症した場合には、妊娠中高血圧症候群といって、母体はもちろん胎児にまで危険が及びます。

妊活中・妊娠中の人を含むすべての人の健康にとって、高血圧を未然に予防することは大切なことです。
このコラムでは高血圧が心配という読者のために、そもそも高血圧とは何か、さらに症状が起きる原因や予防法などについて解説します。

目次

  • そもそも高血圧とは
  • 高血圧の原因について
  • 高血圧と合併症
  • 高血圧予防には生活習慣改善が必須
  • 高血圧対策にはミネラルと食物繊維を
  • ナトリウムとカリウムのバランスを整えよう
  • 高血圧対策に役立つ食べ物とは
  • 高血圧は未然に防ぐことが大切

そもそも高血圧とは

高血圧は血圧の高い状態が続く病気です。
血圧は血液が流れるときに血管の壁にかかる圧力のことで、健康な人では最大血圧が140mmHg未満最小血圧が90mmHg未満となっています。
最大血圧もしくは最小血圧のいずれかが基準値を上回っている状態が、いわゆる高血圧です。
具体的には、診察室血圧値で140/90mmHg以上、家庭血圧値で135/85mmHg以上だと、高血圧と診断されることになります。

病気というと何かしらの症状を伴うようなイメージがありますが、高血圧の場合はそれ自体に特に自覚症状はありません。
しかし、血圧が高いということは、血管壁に高い圧力がかかった状態が続いているということです。
放置しておくと血管が傷んで動脈硬化を起こし、その結果全身にさまざまな合併症が現れてきます。

さらに、妊娠中の女性が高血圧を発症した場合には、胎児の発育不良など胎児にも悪影響が出てしまいます。
最悪の場合は胎児が死亡してしまう恐れもあります。
この妊娠高血圧症候群は20人に1人の割合で発生し、特に肥満、糖尿病の既往症などがある人ではリスクが高くなるといわれています。

高血圧は命の危機をもたらす恐ろしい病気です。
自覚症状がないからと長期間放置せず、気づいた時点で早めに治療を始めることが大切です。

高血圧の原因について

いわゆる高血圧は、原因不明の本態性高血圧と原因が特定できる二次性高血圧の2つのタイプに分けられます。
このうち、二次性高血圧は若年者に多く、ホルモンの異常や心臓・腎臓・血管の病気などが原因で起こります。
ただ、高血圧患者全体に占める割合としては少数派です。

日本人の高血圧の約7~8割は本態性高血圧です。
本態性高血圧は直接的な原因については特定できないものの、遺伝的な因子に生活習慣などの環境因子が加わって発症することが知られています。
このことから、本態性高血圧は生活習慣病の1つに位置づけられています。

高血圧を予防・改善するためには、生活習慣改善が重要といわれるのはこのためです。
高血圧の発症リスクを上げる環境因子としては、塩分のとりすぎや肥満、ストレス、飲酒、喫煙といったものが挙げられます。

高血圧と合併症

高血圧の恐ろしいところは、突然死や深刻な後遺症の原因になりかねない重篤な合併症を引き起こす点です。

高血圧による血管のダメージの悪影響は全身に及びますが、特に脳や腎臓といった血管が多いところでは深刻な合併症が引き起こされる傾向にあります。
また、血液を送り出すときに負担がかかりやすい心臓も、合併症が現れやすい臓器の1つです。
さらに、妊娠中の女性では、症状が重症化すると母体はもちろんのこと、胎児の健康や生命をも脅かすことにもつながります。

高血圧の状態が続いて動脈硬化が起きると、血管が詰まったり、破れやすくなったりします。
それが、脳の血管で発生した場合に起こるのが、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳の疾患です。

また、高血圧は心不全や心筋梗塞といった心臓疾患のリスクも上げます。
たとえば、心臓に血液を送っている冠動脈が詰まれば心筋梗塞や狭心症を引き起こすことになります。
また、心臓に負担がかかると心臓が肥大し、心臓の機能低下や心不全を招きます。

さらに、腎機能の低下も高血圧が原因で起きる症状の1つです。
その結果、腎硬化症、腎不全などの腎疾患が引き起こされます。

そのほか、高血圧による動脈硬化は、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症などの病気の原因にもなります。
大動脈瘤は大動脈の一部にコブができるもので、万が一破裂すると大出血を引き起こす危険な病気です。
閉塞性動脈硬化症では下半身にある血管が詰まり、下肢の血行障害が起きます。
その結果、しびれや痛み、歩行障害といった症状が現れることになります。

高血圧予防には生活習慣改善が必須

高血圧の発症は遺伝要因も関係があるものの、環境因子による影響も大きいといわれています。
血圧コントロールの重要性に気づいたら、まず普段の生活習慣を見直してみましょう。

たとえば、体重を適切に保つことは糖尿病予防のほか、高血圧の予防にも効果的です。
肥満は心拍出量や循環血液量を増加させるため、高血圧になるリスクをも上げてしまいます。
摂取カロリーと消費カロリーのバランスに注意し、適正体重を維持するように努めましょう。

また、適度な運動を毎日の生活に取り入れることも大切です。
運動は体重コントロールにも役立ちますし、ストレスの解消にもなります。
ストレスもまた血圧を上げる原因とされていますので、適度な運動でストレスを減らすのは血管の健康にとってはとても良いことです。

さらに、アルコールやタバコを控えることも重要です。
アルコールの過剰摂取は血圧を上げる作用がありますし、タバコには血圧を上昇させる作用や動脈硬化をも進める作用があることが知られています。

そして、生活習慣改善の中でも、絶対に忘れてはいけないのが食生活の見直しです。
特に減塩を意識することは、日本人の高血圧の原因を考える上ではとりわけ重要といえます。
日本人に高血圧が多いのは、塩分のとりすぎが原因という話もあるからです。

食塩に含まれるナトリウムには血圧を上げる作用があるため、塩分の過剰摂取は高血圧を招きます。

日本人は醤油や味噌、漬物などしょっぱい食べ物を摂取する機会が多いためか、世界的に見ても塩分の摂取量が多いといわれる国民です。
多くの日本人が1日に必要な量を大幅に超える、1日あたり10g前後の食塩を摂取しています。

日本高血圧学会のガイドラインでは、1日当あたりの塩分(食塩)摂取量の目標を6g未満と設定しています。
薄味にする、加工食品の摂取量を減らすなどして減塩を心がけましょう。

また、動脈硬化の原因となるコレステロールを減らすため、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことも高血圧対策には大切なことです。
肉や乳製品の摂取量を減らし、逆にコレステロールを減らす働きのある魚の油や植物性脂肪を摂るようにしましょう。

さらに、血圧を適切にコントロールするためには、カリウムのような血圧上昇を抑える効果のある栄養素を積極的に摂取することも望まれます。実際、カリウムなどを多く含む野菜や果物の摂取量が多い人のグループでは高血圧の人が少ないという研究結果が報告されています。

高血圧対策にはミネラルと食物繊維を

ミネラルには血圧を調整する作用があるため、体内のミネラルバランスを適正な状態に保つことは血圧コントロールに役立ちます。

先ほど紹介したカリウムナトリウムを尿中に排出する働きがあり、それによって血圧を下げる効果が期待できます。
また、マグネシウムにはカリウムの働きを助ける作用があります。

さらに、血圧を下げるためには日本人が不足しがちなカルシウムも重要です。カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンやプロビタミンDが分泌されますが、これらの物質には血圧を上げる作用があります。
血圧を必要以上に上げないためにも、カルシウムをしっかりと摂取しましょう。

意外なところでは、食物繊維も高血圧予防に役立ちます。
食物繊維の中でも、水溶性食物繊維には小腸内で余分なコレステロールやナトリウム、糖分を吸着する働きがあるからです。
ナトリウムの排出を助けるほか、肥満対策にもなるという意味でも高血圧予防に効果的な栄養素です。

ナトリウムとカリウムのバランスを整えよう

特に意識しておきたいのが、ナトリウムカリウムのバランスです。
細胞外に多く存在するナトリウムと、細胞内にあるカリウムは互いにバランスを取りあうことで、体内の血圧や細胞を適切な状態に調整しています。

細胞にはナトリウムポンプという調節機能があり、細胞内に多くのナトリウムが入ってくると、細胞外からカリウムを取り込み、余分なナトリウムを細胞外へ排出します。
それによって、細胞内のナトリウムカリウムの濃度を一定に保っているのです。

ナトリウムで血圧が上がるのは、血管壁の細胞内のナトリウムが増えると水分で細胞が膨張し、血管が狭くなるためです。
ここで十分なカリウムが細胞内にあると、ナトリウムポンプが発動し、細胞内のナトリウムと一緒に水分が血液中にくみ出され、血管が広がって血圧が下がります。

ナトリウムを取りすぎる傾向のある日本人にとって、ナトリウムの排出を助けるカリウムを積極的に摂取することはとても重要なことです。
血圧を正常な状態に保つためにも、ナトリウムカリウムのバランスを適切な状態に保ちましょう。

高血圧対策に役立つ食べ物とは

高血圧予防に役立つ栄養素を摂取したいなら、野菜や果物、豆類、海藻類、全粒穀物などを積極的に食べましょう。
たとえばカルシウムなら乳製品や小魚、マグネシウムは大豆、味噌、玄米、海藻などに豊富に含まれています。
また、カリウム補給であれば野菜、果物、豆類、きのこ、食物繊維補給には海藻、果物、こんにゃくなどがおすすめの食品です。

基本的には野菜、果物、ナッツ、豆類、魚類といった食品を積極的に摂取する生活がおすすめです。
これらの食品群はミネラルやビタミンも豊富ですし、魚やナッツに含まれる良質の脂質にはコレステロールを低下させる作用も期待できます。
逆に、肉や乳製品、加工食品は控えめにしましょう。
乳製品はカルシウムの優れた補給源ですが、全乳を原料とするものは乳脂肪のとりすぎが心配です。
できれば、低脂肪牛乳や無脂肪ヨーグルトといった脂肪が少ない乳製品を選ぶことをおすすめします。

こちらの記事もオススメ 高血圧には納豆!?手軽に美味しく、飽きずに減塩できる3つのテクニック

高血圧は未然に防ぐことが大切

高血圧の発症には、食生活を始めとする生活習慣の乱れが大きく関わっています。
「目立った症状がないから」と症状を放置してしまうと、動脈硬化が進んでしまいます。
その結果、血管が詰まりやすくなったり、破れやすくなったりして、恐ろしい合併症を引き起こすことになるのです。
血管が詰まる場所によっては、深刻な後遺症が残ったり、突然死してしまったりする可能性もゼロではありません。
また、妊娠中の人の場合は母体や胎児の健康に悪影響をもたらすリスクもあります。

多くの場合、高血圧は予防が可能な病気です。
また、もしなってしまったとしても適切な治療を受け、毎日の生活に気をつけることで症状の悪化を抑えることができます。

栄養バランスを含む生活習慣を見直し、高血圧の予防・改善に努めましょう。

参考文献
  • 【順天堂大学医学部付属順天堂医院腎・高血圧内科】高血圧
  • 【大日本住友製薬】高血圧に合併する疾患
  • 【ヨミドクタープラス】単純ではない飲酒と高血圧の関係…朝の血圧、要注意!
  • 【エピック・ジェイピー】大迫研究[2008年文献] 果物と野菜の摂取量が多いほど高血圧リスクが低下する
  • 【真壁病院】減塩が大事といわれるのはなぜ? 塩分と高血圧の関係
  • 【オムロン】高血圧の予防と改善(1)-食生活を見直す
  • 【清水化学株式会社】食物繊維について
  • 【高見台クリニック】電解質の役割(15)カリウムが血圧を下げる機序