血液を正常にする、妊娠前後は男女ともにとりたい葉酸の基本を知る。

ビタミンB群の1つでビタミンB9、ビタミンMとも言われています。
Mはサル(Monkey)が由来です。サルの貧血を防ぐ物質として発見されたためです。
葉酸は細胞や赤血球を作るのに重要な役割を果たしています。
赤ちゃんの先天的な異常を防ぐため、妊活中から妊娠初期に特に大切な栄養素です。

葉酸の機能

細胞の合成に関与する

核酸(DNA、RNA)の原料となるプリン体やピリミジンの合成に補酵素として関わります。
プリン体は痛風のイメージが強いですが、細胞の核を作る主成分となります。
核酸が正常に合成されることで細胞分裂が正常になされます。
特に細胞増殖が盛んな胎児の発育には重要な栄養素です。

赤血球の合成に関与する

葉酸は赤血球のもとになる「赤芽球」を作ります。
正常な赤芽球の形成を通じて貧血(悪性貧血)予防の効果が得られます。
赤血球の合成にはビタミンB12も関わります。
葉酸とビタミンB12の協業は、正常な赤血球を作るだけではなく、皮膚や粘液を強くする効果もあるといわれています。

葉酸の消化・吸収・代謝

食品中に酵素たんぱく質と結合した状態で存在しており、調理過程や胃酸で遊離します。
腸内の酵素で消化され、小腸から吸収されます。

小腸で吸収され、利用率は低い

食品に含まれる葉酸は酵素たんぱく質と結合した状態で存在しており、調理や胃酸によってたんぱく質から離れます。
腸内の酵素で消化され、小腸から吸収されます。
また、消化の過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる食品にも影響されます。
一般的な成人の利用率は25-81%と報告にばらつきがありますが、基本的に低いと考えられています。

腸内細菌によっても合成される

腸内に存在するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌によって合成されます。

葉酸の摂取量

成人の男女で240μg/日

成人の男女で、240μg/日の摂取が推奨されています。
サプリなどによる摂取を対象に、上限量が定められています。

妊活中から妊娠初期にサプリを使用するなら400μg/日、食事からの摂取もお忘れなく

赤ちゃんの先天異常を防ぐため、妊活段階から妊娠初期にかけて特に葉酸は必要で、予防のためにサプリからの摂取する葉酸として400μg/日が推奨されています。
なお、人工的に作られた葉酸サプリや強化食品に使われる葉酸は通常の食べ物に含まれる葉酸と化学物質が異なります。
そのため、サプリなどに含まれる葉酸は生体利用率は通常の食べ物に含まれる葉酸の2倍程度になります。
サプリは効率的ですが、妊婦に推奨されている480μg/日に届くよう食事からも葉酸を摂取するのが望ましいです。

過不足のリスク

通常の食事で過剰症の心配はない、サプリ等で摂取する場合は耐容上限量を守ろう

通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
サプリなどで大量摂取すると発熱やじんましんなどの葉酸過敏症が起こるという報告があります。
亜鉛の吸収を阻害する恐れもあるといわれています。
また、過剰摂取による悪性貧血のマスキングが健康障害として報告されています。
葉酸の過剰摂取が ビタミンB12の欠乏を隠してしまい、神経障害の発生につながる可能性があります。
サプリなどで摂取する場合は耐容上限量を守りましょう。

不足すると貧血や口内炎、胎児の場合は脳神経の発育に悪影響

欠乏すると造血機能に異常が生じ、巨赤芽球性貧血や神経障害が起きます。
巨赤芽球性貧血は赤血球が巨大化することで起こる貧血で、口内炎や食欲不振を引き起こすこともあります。
女性に多い鉄の不足による貧血(鉄欠乏性貧血)と区別して悪性貧血とも呼ばれます。
妊娠初期に不足するとおなかの赤ちゃんに神経管閉鎖障害という欠乏症が現れます。
神経管閉鎖障害は妊娠6週頃に発生する、脳や脊椎が正常にくっつかなくなる病気です。
脊髄髄膜瘤、無脳症、脳留などがあります。
これにより流産が起きることがあります。
他にも奇形になったり下半身に麻痺が出たりする場合があります。

葉酸が多く含まれる食品10品目

レバー、えだまめ、モロヘイヤ、パセリ、アスパラガス等野菜に多く含まれています。
熱や光に弱く水に溶けやすいため、煮る調理や加熱調理により壊れやすい栄養素です。
サラダなどにして生で食べるのが損失を抑えられます。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
神経変性疾患領域における基盤的調査研究班(2019)「脊髄髄膜瘤」難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/entry/4634(参照2020.04.10)
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
清水純(2019)「腸内細菌と健康」厚生労働省https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html(参照2020.04.10)
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社

著者 / 監修者