皮膚の炎症を防止してくれる、ビオチンの基本を知る。

ビタミンB群の1つでビタミンB7とも呼ばれます。
皮膚の炎症を防ぐ物質として発見され、ドイツ語の皮膚(Haut)からビタミンHとも呼ばれていた栄養素です。
「筋肉痛を和らげる」「湿疹、皮膚炎の症状緩和」「抜け毛予防・治療」等の効果が得られます。
皮膚の疾患への効果以外にも、血圧上昇を抑える作用や肝不全への有用性が期待されています。

ビオチンの機能

炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝に関わる

食事で摂取した糖質、たんぱく質、脂質がエネルギーに変換される過程に補酵素として働きます。
各エネルギー源とビオチンが関わるタイミングとして、糖新生、脂肪酸合成、分岐鎖アミノ酸(BCAA)代謝などがあります。

皮膚や粘膜を守る

抗炎症物質を生成して皮膚や粘膜を守る効果があり、アレルギーやアトピー性皮膚炎などを緩和する作用があります。
他にも、妊娠の維持や胎児の発育に影響があると注目されています。

ビオチンの消化・吸収・代謝

小腸で吸収され、吸収率は80%程度

食品に含まれるビオチンはたんぱく質中のリシンと共有結合した形で存在します。
消化管でたんぱく質が分解された後、ビオチン単体となって小腸で吸収されます。
消化の過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる食品にも影響されます。
一般的な日本の食事での吸収率はおよそ80%だと報告されています。

腸内細菌によっても合成される

腸内に存在するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌によって合成されます。

ビオチンの摂取量

成人の男女で50μg/日摂取が目安とされています。
耐用上限量の設定はありません。

過不足のリスク

余分なビオチンはすぐに排泄されるため、過剰症の心配はない

通常の食事摂取で過剰摂取による健康障害が発現した報告はありません。
余分に摂取されたビオチンは速やかに尿中に排泄されます。
大量のビオチン経口投与でも健康障害は確認されていないため、上限量も定められていません。

腸内細菌でも合成されるため欠乏症は起こりにくい

腸内細菌でも合成されるため、欠乏症の心配は基本的にありません。
抗生物質を多用していたり、長期間下痢をしていたりすると腸内環境が変化しビオチンの産生量が減る場合があります。
欠乏すると皮膚炎、脱毛、むかつき、吐き気、憂鬱感、神経症状などが現れます。
妊娠中に不足すると、胎児に形態異常が誘発されることがあります。
また、生卵の白身に含まれる「アビジン」と呼ばれる物質はビオチンの吸収を妨げます。
ただ、アビジンは加熱すると活性が失われますし、生卵であっても何十個も大量に食べない限り欠乏症は起こらないと考えられていますので、一般的な食生活をしている人は不足を気にする必要はないでしょう。

ビオチンが多く含まれる食品10品目

レバー、卵黄、アーモンドやカシューナッツなど種実類、あさりやししゃもなど、幅広い食材に含まれています。
食品中でたんぱく質と結合して存在しているため、分解されにくく、熱や酸にも強い栄養素です。

出典 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」
文部科学省(2015)「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
上西一弘(2016)「栄養素の通になる」女子栄養大学出版部
奥恒行、柴田克己(2017)「基礎栄養学(改定第5版)」南江堂
駒井三千夫(2004)「ビオチンの血圧上昇抑制作用に関する研究」ビタミンB研究委員会
駒井三千夫(2009)「ビオチンの抗メタボリックシンドローム機能」ビタミンB研究委員会シンポジウム
田知陽一(2018)「栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学第3版」羊土社

著者 / 監修者